スティックレイのミニチュア
スティックレイの家具への関心が高まったまさにその時、eBayの検索で出品したての凄い物を見つけました。職人技のハンドメイドのセットです。昔横浜で見た、あのリビング・セットそのものじゃありませんか! 縮尺は正確に12分の1。つい立て、敷物、クッションも付属で、家具が6点、お揃いのスタンドは実際に電気がつくという凝りよう。
「クラフツマン・スタイル」という出品名ですが、スティックレイの家具はいろいろな呼び名があるようです。ドールハウス家具の「ミッション・スタイル」よりも私が昔横浜で見た家具にそっくりですから、そもそも私が憧れたのは「クラフツマン・スタイル」だったのかもしれません。詳しいことはまだよく知りません。
出品者はアメリカ人、大学で美術史を専攻したのち東海岸でアンティーク・ショップを経営するかたわら、長年趣味でミニチュア家具を作っているという人です。いろいろな国のいろいろな様式の家具をいろいろ作っているそうです。過去の作品はわかりませんが、今回出品した3つのセットもまったく違う様式でした。どれも木材選びからデザインの表現、特徴ある細部、家具の構成にいたるまで素晴らしいできばえです。
最初の値段は135ドル。安くありません。でも作者である出品者が最低限受け取りたい金額としては格安です。これがお店に並んでいたら5万円でも7万円でも驚きません。でも先月のこと、プロの職人が作った素晴らしいアーツ&クラフト様式のミニチュア長椅子が30ドルくらいで出て、すごい競り合いの末に300ドル以上で落札するのを見ました。手の上に乗る華奢な長椅子一つにです。これは9点セット。家具だけでも6点。いったいいくらになるのか。しかしスティックレイを知り、藤枝の家具職人さんに出会い、まるで私のために現れたかのようなセット。「欲しいっ!」 私の胸は高鳴りました。落札までの5日間は気もそぞろでした。壁紙は? 床材は? ときどき心臓がキュ〜ンとうずきさえしました。そして…………
買えませんでした。でも執着は残りません。やはり私には勿体ない品物だと思います。所有欲はあったけれど、美しく飾る方法を知らず飾るに足る空間もなく、受け入れ態勢がないのですから。私はむしろこういうミニチュアを楽しむに相応しい人間になりたいと思いました。
さて、この日の午後は理系のYさんから緊急呼び出しがあり、久しぶりにお宅へ遊びに行きました。夜明け前の落札のあと少し仮眠しただけでかなりの寝不足でしたが、競りを見ていた画面のままのMacを持参して理系の人々にも見てもらいました。家具の話など初めてなのに、誰もが「おお」と驚き「凄くいい」と言ってくれたのに満足しました。(わかってもらえるって嬉しい。)その他ドールハウス関連の写真やインド映画のダンスシーンを面白がって見てくれたし、おいしい手料理をたらふくご馳走になって、すっかり癒されたのでした。(4月19日)
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