ナオミ・クライン「The Shock Doctrine」
「The Shock Doctrine----The rise of disaster capitalism」
Naomi Klein 著
Picador 刊
2007年(カナダ)
ペーパーバック/$16.00.
(アマゾンで1229円)
ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」です。この本がカナダで出版され世界中で大ベストセラーになって4年目ですが、邦訳が出ないのが不思議です。(出版禁止ですか?)
(追記:2011/6/23)同じナオミ・クラインの「ブランドなんか、いらない」の翻訳を現在刊行している大月書店さんに問い合わせたところ、ご担当者よりすぐに返事をいただきました。それによりますと、「ショック・ドクトリン」の翻訳権は岩波書店さんが取得しており、大月書店さんとしても日本の読者が今読めないのは残念だが何ともしがたいとのことでした。(大月書店さんには折り返し「今すぐ必要なのは実は大著の全訳より、もっと薄くて安くて判りやすい解説本かもしれませんね」と申し上げましたが)そういうわけですから、みんなで岩波書店様に催促いたしましょう。
ショックドクトリンとは、おもに他国に大きな経済政策の転換を強要するとき(要するに新自由主義に組み入れたいとき)、大災害や大事件に乗じてふだんなら絶対に認められないような法律をばたばた通させてしまうことで遂行するやり方です。911のように自国民の自由を制限する場合にも使われます。人々が恐怖におののいて、政府に助けをもとめる状態であることがミソで、人々が平静を取り戻してシマッタと気づいたときにはもう手遅れ、というものです。恐ろしい話ですが、世界中で行われているのです。日本政府が311に乗じてコレをやりたがったのは明らかで、実際にやっています。ただし国民は混乱せず、政府を頼るどころか非難ゴーゴでしたから、華々しい支持を得られないままコソコソやっているのです。(報道されないから国民が知らないだけです。)
私にこの本を全部読むつもりはなく(700ページあるんです、読めるわけがありません)、311の後にあちこちで言ったり書いたりしておきながら本を持っていないのはまずいかしらと、先月になってレファレンス用に買いました。本では労苦を惜しまぬ調査にもとづき過去に各国で起こったケースを詳述していますが、その趣旨はネット上の日本語字幕付きのビデオや日本版番組サイトの記事で理解することができます。誰もが知っておくべき現代の基礎知識だと思います。
それにしても、どうして日本にはナオミ・クラインやジェレミー・スケイヒルのような若くて頭が良くてカッコいいジャーナリストが生まれないんでしょうね。(6月3日)
ショックドクトリン(抜粋版)日本語字幕付
日本版デモクラシーナウ、2007年9月17日放送
● 詳しくはこちら 「ショックドクトリン」。「大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」、ナオミ・クライン新著を語る(日本版デモクラシー・ナウ)
● ナオミ・クラインが出演した「デモクラシー・ナウ」の日本版の番組一覧はこちら。(いつの間にかこんなに出演していたんですね。私は全部を読んでいません。もっと読みやすいレイアウトにしてください!)
● デモクラシー・ナウ 日本語版公式サイトのホームページ
● Democracy Now! アメリカの公式サイト(全てのインタビューのビデオとトランスクリプションがあります。)
関連書籍
「貧困と不正を生む資本主義を潰せ----企業によるグローバル化の悪を糾弾する人々の記録」(原題 Fences and Windows -- Dispatches from the front lines of the globalization debate)ナオミ・クライン著、松島聖子訳、はまの出版
「ブランドなんか、いらない」(原題 No Logo)ナオミ・クライン著、松島聖子訳、大月書店
応用編をみつけました:
【中野剛志】悪魔のショック・ドクトリン!民主党復興政策に騙されるな(4月9日放送されたもの)
ついでの話として、「デモクラシー・ナウ」は朝日ニュースター(ケーブルテレビ、スカパー)が日本語字幕付きで放送しています。ただしアメリカでは毎日放送しているのに日本では2.3のトピックをまとめて週1回(再放送あり)、しかもトピックが半年遅れのことも普通にあります。新しい情報を得るには、(日本語字幕はありませんが)アメリカの公式サイトを見るか、ポドキャストに登録すると便利です。
0 件のコメント:
コメントを投稿