東北・関東・長野の大災害と募金
私は2008年にこのブログで一つの象徴としての(あるいは一番目立つ)どらえもん募金と、関連して日本赤十字社や日本ユニセフ協会について書きましたが、その後国内外の大きな災害のたびに沢山のアクセスがあります。今回もです。(なにしろ「どらえもん募金 ピンハネ」で検索すると、ここがトップなんです……。)こんな僻地の過疎ブログまで人々が来てくれるのですから、いったいどれだけの人が善意と不信の間で揺れているのかと思います。しかし大きな組織は人々のそういう気持ちをどうとらえているのでしょう。
(2008年に書いたものの宣伝)
● どらえもん募金......寄付はお買物?
● 募金......善意の花園
● 募金のいろいろ、やがてうんざり
● 共同募金の心得?
どらえもん募金が今回は電話じゃなくなりました。よほど評判が悪かったんでしょうか。今度こそ公式サイトで明朗会計を公開してくれるでしょうか。
それにしても、誰もが一番腹を立てたのは、多くの募金の行き先である日本赤十字社が2ヶ月たっても集まったお金を現地に届けなかったことでしょう。(今ネットで見たところ、日赤は5月13日に「義援金の第一次配分宮城県に1億円を送金」し(ここ)、そして宮城県が今日17日に震災孤児に50万円、死者行方不明者に15万円など金額が決めたようです。(ここ))まあ事情はあるのでしょうけど、1千億円を超えるお金を塩漬けにすればそれなりに利子も発生するはずですが、それをどう処理するかも含めて説明すべきではないでしょうか。着のみ着のままで避難した人達は、周囲でお店やコンビニが営業を再開しても手元に現金がないために何一つ買えないなんて酷い話です。その後配ったのでしょうか。(お金の配り方には何十年来の決まった方法があり、最終的には被災者一人一人に手渡すことになっている、と前に湯浅誠氏がテレビで話していましたが。)
(追記:5月18日)
日赤に集まったお金は日本赤十字社・義援金受付状況で公開されています。5月17日現在、
221万5010件 1951億4843万7675円。
5月16日までに被災した各県の義援金配分委員会に
707億6900万円を配ったそうです。
でも、
北海道35万円てなに?
山形県79万円てなに?
群馬県53万円てなに?
神奈川県140万円てなに?
日本ユニセフは災害直後から「余った支援金は海外に回す」とゴーゴしていましたが、余るわけなどなく、日本じたいがユニセフの支援対象国になっているのにその後どうしたでしょうね。ワカリマセンネ。
(追記;5月18日
日本ユニセフ協会に集まったお金は5月16日現在、
19億5085万6302円 だそうです。使い道は4月26日の計画がこちらに公開されています。こんどの震災の分は一般のユニセフ募金と分けて、公認会計士協会と協力して透明性を高めるそうです。あはは。
私は派手な共同募金が好きじゃないので、福島や岩手出身の人が実際に現地へ行くときに(心ばかりの)カンパをしました。たまたま近所のなじみのカフェ(通称「おさる」)で、同じくなじみのお客さんで実家が被災した人達がいて、彼らのために募金箱を出していたからです。また、友人の兄上が「犬のボランティア」をやっていて、阪神淡路のときに行ったし今度も東北へすぐに行く予定だというので、そのときカンパさせてもらうつもりでした。とにかく現場にできるだけ近い人に渡すのが最善と考えています。
そういう「現場に近い人」へのカンパは全国的な共同募金とかなり違って「本当に現地の被災者に届けてくれるのか」という心配がありません。私のお金は現地で役に立とうとする彼らのガソリン代やお弁当代になっていいわけですから。(それは被災者へお金を届ける事務をしてくれる日本赤十字社の自社ビルの空調を管理する会社への支払いの一部になってもいい、というのとかなり気分が違います。まあ、それはそれで必要な経費ですが。)
集金力のあるテレビや新聞が集めるお金、海外からの支援金、そうした大きなお金をとりまとめる日赤のような機関は必要です。そして大きなまとまったお金ならではの使い方もあるでしょう。だからそれはそれでいいんだと思います。しかし日本中の善男善女さん達に蔓延する「集めて日赤に送ればいい」という共通の意識はどうしたものでしょう。これはいわゆる「ピンハネ」や「ネコババ」の反対側にある一つの問題だと思います。
コンビニをはじめ多くの商店や飲食店でレジの傍らに募金箱を置いていますし、企業や地域や学校で集める場合もあり、たいていはまとめて日本赤十字に寄付するようです。善意は善意なんでしょうけど「日赤に送れば、後はやってくれるでショ」という感じで、ちょっと安易ではありませんか? 日赤には日赤のやりかたがあり、すべての角度から支援できるわけではありません。企業や有志が募金活動する場合は敢えて日赤やユニセフではなく、被災した県または市町村役場に送金したらどうかと思います。(とはいえ、多忙な被災地の役所で職員さんを入金処理で煩わせないためには、役所が信頼する現地の人物(組織)、あるいは現地と連絡を取りながらまとめて送金する立場の信頼できる誰か(組織)が必要でしょうが。)
(追記:5月18日)
前言撤回。震災直後〜4月に入ると被災した各自治体がちゃんとお金を受け入れる銀行口座を公開していました。下のブログに一覧が載っています。こういう情報はマスメディアに出ませんね。どこもかしこも日赤ばかり。これから寄付する人はこちらに送金しましょう。(でもねえ、「募金する」とはお金を集めることで、お金を出すことではありませんよ。「被災地に直接送金する」だと良かったのにネ。)
● 被災地に直接募金する、日本赤十字社以外の募金方法
しかし物理学者の井口和基先生はブログで「(災害直後は)被災していない自治体に寄付するのがよい」と言います。傾聴すべきことと思いました。(本題は記事の後ろのほうですが、この先生のお話はいつもとても興味深いので最初から読んだ方が面白いと思います。)
● 首都圏の人々、地方自治体へ送金せよ!:これが最良のクリティカル・パス! (2011年3月17日付)
今日は興味深い関連ブログを見ました。題が挑発的ですが、被災地への医師派遣のために医師会がとりまとめる募金を提案しています。いい案だと思いますが意外に批判もあるのですね。ちなみに私はクリック募金が好きじゃありませんが。(この記事へコメントしましたがerrorで送信できませんでした。無断のリンク、ご容赦ください。)
● 日赤に募金するな openブログ(2011年4月2日付)
最後にで余談です。よく「カンパ」といいますが、あらためて辞書を引いたら語源はロシア語の「カンパニア」とありました。そして「カンパニア」とは「政治的な目的で組織された大衆行動」。ロシア革命後の共産主義運動から広まった用語なのでしょう。「カンパ」は政治的・社会的な目的でお金を集めることとお金を出すことの両方だそうです。でも「カンパする」といえば普通お金を出すほうの意味でしょうね。
(追記:5月19日)
ところで、まだ「クリック募金」をやっているんですね。驚きです。よほど儲かるんでしょうか? あれは「募金」ではなく「広告」です。(「ここまで来てクリックしてくれたら1円寄付してやるよ」って、ふざけるなと言いたい。人の時間を詐取しないでください。企業の寄付行為は個人と同様に己の価値観と懐具合と多少のイメージ戦略に基いて主体的におこなうべきです。)クリックしている暇に自分の現金を(身銭を)送金しましょう。入れるお金が1円もないからせめてクリックで……という人は間違っています。寄付は寄付するお金のある人がするものです。お金があっても独自の考えのある人やケチな人は寄付しません。お金がない人がどうして寄付しなきゃいけないんです? 後ろめたさを感じる必要はないんです。こんな大災害なのに何もできないのが辛い......と思うなら、その辛さを噛みしめましょう。噛みしめながら、お金以外で自分に出来ることを探しましょう。大災害以外のことも考えましょう。クリックでごまかしてはいけません。
0 件のコメント:
コメントを投稿