ドラえもん募金‥‥‥‥寄付はお買い物?
テレビ朝日が「ドラえもん募金」をやっています。サイクロンのミャンマーと地震の中国、二つの被災地への支援です。電話を使った寄付は他にもあり、ドラえもんに限ったことではありませんが、とりあえずドラえもん募金について先日来思うところを書きます。
(1)消費税?
以前は(何年か前は)「電話一回で100円」といっていたと思いますが、このたびは「105円」です。どうも「100円のお買い物+5円の消費税」という金額に思えてしょうがありませんが、これは「消費税込み」ということでしょうか。驚きです。どうして寄付に課税されなきゃいけないんでしょう。しかも消費税を? 寄付は消費なんですか???
寄付を募る側は何を売っているんでしょうか? 私達、かわりに何も受け取りませんよ。たとえば「赤い羽」を「商品」と見たてて定価+消費税を支払えというなら、そういうのもありかなと思います。しかし「消費税パーフェクトガイド.com」を見ると、その「赤い羽」を例にあげて共同募金の寄付金は経理上「不課税取引」であると解説しています。「一方的な金銭の贈与で対価性がないため」です。別の専門家向けのサイトでも「したがって、寄付金、補助金、贈与などの無償取引は原則として課税対象にはなりません」と書いてあるのですが。
● 消費税パーフェクトガイド 共同募金等への寄付金の支払い
● 消費税という税金のあらまし はじめて課税事業者として消費税を申告する方へ
NPO向けの経理指南のサイトでは、寄付金を受け取った側の経理処理として、集めたお金を何に使うかで(そこに消費税が発生するか否か、等々で)税率が違うといいます。プロでも難しい計算になるそうです。しかしそれはお金を集めたNPOの経理処理であって、私達お金を出すほうの問題です。下のようなQ&Aがありましたが、読んでも理解できません。しかも回答者は匿名です。
● ドラえもん募金に消費税がかかるのはどうしてですか?
(2)手数料
ずいぶん前に(阪神の地震のときだったか、もっと後か忘れましたが)、電話で100円寄付をするアレは、100円のうち30円が手数料で70円が寄付の正味だと聞きました。(その話にしたがえば)千円寄付しようと10回電話すれば、300円が手数料、700円が寄付なのでした。ですから私は「70円寄付の100円コースと970円寄付の1000円コース」というように電話番号を二本立てにするとか、できるだけたくさん寄付できる仕組みにしてくれたらいいのにと思ったものです。事実は、現在は、どういう割合でしょう。テレビ朝日のサイトを見ても、募金の案内だけで手数料には触れていませんね。
どんな寄付でもたいていは運営費などの経費をピンはねするものです。以前ある募金の収支報告で、集めたお金の半分以上を「運営費その他」に使っている所を見たことがあります。でも後々思い出すだに明細を公表している分エライと思いました。ドラえもん募金もピンはねが事実3割なのか、3割が妥当なのかを含め、その点を明らかにした上で堂々と理解を促す努力が必要ではないでしょうか。
● テレビ朝日ドラえもん募金「新潟県中越沖地震被災者支援」募金結果のご報告
(3)収支報告
上の「ご報告」で、集まったお金の100%を日本赤十字と新潟県に寄付したとありますが、問題はその金額が「ピンはね後」ではないか?ということです。1回100円(または105円)で合計金額「71,527,692円」とあり、下3桁が「692円」というのがナニです。そして、ピンはねの事実を含め、ピンはねの割合、金額、使途はすべて不明。千万円単位のお金ですから、こんな不明朗会計はないと思いますよ。せめて何件の電話があったのか併記してほしいものです。
寄付してもらった側の日本赤十字のサイトを見ると、寄付の受付などの案内の場所はすぐにわかりますが、使った結果はすぐに見られるようになっていません。(ないかもしれません。)「よくある質問」にも載っていません。皆さんよほど無関心、ということでしょうか。
日本赤十字は決算報告をサイト上で開示しています。私はこういう表を読むのが苦手ですが「NHK海外たすけあい」などの海外支援の寄付金およそ160億円が一般会計に計上されているのを見つけました。(一般会計?!)しかしそのお金がどう使われたのか、どこを見ればよいのかわかりません。国内向けの寄付金はどこにあるのか、それさえわかりません。(支出には自分の建物の改修などが目立ちます。)元々いい噂ばかりではない団体ですが。素人から集めた寄付金なのですから、素人にわかるように、円グラフなど大雑把でいいから正直なものをわかりやすい所に載せてほしいものです。
● 日本赤十字社/よくあるご質問
● 日本赤十字社/決算報告
(4)結論
ドラえもん募金の寄付を受け取った日本赤十字も、当然そこから「運営費その他」をピンはねした金額を支援に回すのですから、二重のピンはねです。それなら直接郵便振替で日本赤十字に寄付したほうが無駄が少ないと思います。
それにしても日本政府が大好きなアメリカでは、(承認された団体への)寄付は所得税控除の対象だというのに、この国では本当に「寄付」から「消費税」を徴収しているのでしょうか。万が一そうなら呆れてものが言えません。
以上が私の疑問です。今しばらく調べて、当方に誤解があればここに追記する予定です。
もし事情に詳しい方がいらしたら、ぜひ正しい情報をお知らせくださいませ。
(追記)
さっそくこういう質疑応答を見つけました。(5月20日)
「どうして消費税?」という疑問にたいし、「ダイヤルQ2を使う都合で発生するお金」との答え。
● 新潟の地震の募金について
ドラえもん募金はNTTのダイヤルQ2というサービスを利用しているという事情により、電話したとき向こうから聞こえる音声は「番組」であり、「情報料100円」の「商品」であるということ。100円の商品を買うのだから当然「消費税5円」を納める、という理屈。
それなら以前「100円」だったのはなぜ? それが本当なら、善男善女に周知徹底するべきですし、それをしたところで無意味な納税を強いるこの仕組みは間違っていると思います。
当然NTTは「1個100円の商品」を「販売する」ことから通常どおりの利益を得ているはずですよね。いったいいくらでしょう? (‥‥‥‥ああ、これが最初のQ&Aにあった「9%の免除」でしょうか?)
それとも、テレビでは「105円が寄付されます」と言っているのですから、事実上消費税は免除されているのでしょうか。そしてNTTは「1件105円」をまるまる募金に回すべく、システムの提供と代金の回収業務を完全無料のボランティアで行なっているのでしょうか? にわかに信じられませんが、もしそうならNTTが最大の功労者であるはずで、「NTTの全面協力により」くらいの枕詞をつけてやるべきではありませんか? テレビ局は呼びかけるだけで何もしないのですから。
しかし‥‥‥‥やっぱり何一つ明らかではありません。寄付を集める主体が何も言いません。募金とは、有名でも無名でも、国内でも海外でも、似たようなものかもしれませんよ。(しかも昨今は募金詐欺さえ横行しています。)ですから一般論として、「経費を含めた収支報告」を公表しない募金にはそのつもりで関りましょう。そして、できるだけ、「中間業者」のいない寄付がいいと思います。
(私の経験内で信頼できるのはアフガニスタンで活動する中村哲医師のペシャワール会だけです。)
こういうものに「ドラえもん」の名を冠するなんて‥‥‥‥嫌ですね。
(追記3)ちょっとネットをぐぐると、多くの人が同じ疑問を抱いているのがわかりました。またメディア業界の募金はダイヤルQ2だけではありませんでした。(5月21日)
● J-comの募金オンデマンド
不特定多数に接する「メディア」業界は大衆に訴える力にかけて絶大です。あの手この手で募金を呼びかけます。これは流行ですか? いったいいくつあるんでしょう。ケーブルテレビのJ-comでは、どうやらテレビの画面操作で寄付ができる仕組みのようです。「(105円、525円、1050円、3150円)うち消費税を差し引いた額が、救援金として、「日本赤十字社‥‥‥‥」と書いてあり、ここでは明らかに消費税がかかっています。消費税がかかっている時点で「公的」に寄付とみなされていないのですから、こういう募金行為はやめてほしいと思います。それでも寄付したい人は消費税分を含めた金額を日本赤十字社に直接送金しましょう。(日本赤十字社もナニですし、お金が被災地に渡ってからの使い道はさらにナニなのですから、せめて自分で省ける無駄は省きましょうよ。)
本当に善意であるなら、ダイヤルQ2を使うにしても、全テレビ局で電話番号を一つにすればいいのにと思います。すでに実績を持つ全国規模の一大善行プロジェクトとして、その電話番号だけは政府から特別に消費税免除のお墨付きをもらい、会計処理も一元化。(といってもNTTが集めたお金を日本赤十字に回すだけ‥‥‥‥のはず。)各局は現金に触れることなく、ただ宣伝に励み、後に会計報告を公開する場を提供する、という形にすれば合理的だし、ずっと透明です。(放送局は現行のとおり番組内で言及するだけ。経費もほとんどかかりません。)そしてNTTは無料奉仕のボランディアをかって出てもいいし、寄付金から相応額の報酬を得てもしかるべきと思いますけど。(なぜそうならないのでしょうね?)
いっそ日本赤十字社が主体となり、NTTを使って募金するのをメディア各社が宣伝する、という形にすれば一番無駄がなさそうです。テレビ局にとっても「本当のボランディア」ができます。(本当に善行なら。)
日本赤十字社の「海外復興支援活動計画」を見つけました。
● きもちのしるし、2007年3月号 PDFファイル
昨日は見つからなかった「報告」ですが、日本赤十字社のホームページにリンクがありました。下のほうの「その他」の欄です。活動報告は「その他」なんですね。(J-comの募金のページのリンクで知りました。)
このパンフレットには私の好きな「円グラフ」の会計報告が載っていました。スマトラ、ジャワ、パキスタンでの活動における寄付金の使い道です。「皆様から寄せられた救援金△△億円」を運営費、人件費を含めた100%の使い道を表にしています。ただしそれ以外の被災地の会計報告はは国内外を含め、記載がありません。「きもちのしるし」のバックナンバーはサイト上に載っていません。
しかしここでもう一つ「お金の入口」に触れてほしいと思います。日本赤十字社はNHKたすけあい、ドラえもん募金など多くの団体が集めた寄付金と無数の個人から直接送られた寄付金を受け入れています。日本赤十字社を信じて託した人達に感謝するなら、どの期間にどこからいくら受け入れて合計いくらか、目立つ所に別項をもうけて明記すべきじゃないでしょうか。この表の「救援金△△億円」という被災地別合計金額の書き方では、たとえばそれが50億円とすると、50億円受け入れたうちの50億円なのか、100億円受け入れたうちの50億円なのかさえ不明じゃありませんか。そんなことまで書いていたら素人には煩雑だというなら、こういう大きな組織では報告も3段階くらいにして、簡単なもの、少し詳しいもの、かなり詳しいもの、というふうに寄付した側の必要に応じた参照を可能にする工夫をしてほしいと思います。
このブログ内の「緊急特集/募金」(右欄の「累積資産・5月」からもどうぞ)
● 募金‥‥‥‥善意の花園(日本ユニセフ協会について)
● 募金のいろいろ、やがてうんざり(クリック募金について)
● 共同募金の心得?
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