麻岡さんのペイパーウエイト
「ギャラリー403」は、おそらく「奥野ビル403号室」からきた名前でしょう。前の日曜日にも開いていたそうですが、狭い廊下の奥にあり、不覚にも見過ごしました。
そこでは「麻岡宏之展」をやっていました。ご本人と奥様がつめていらして、なんともお洒落な熟年カップルです。とくに奥様の着物姿はとても洗練されていました。ギャラリーに置いてあった案内ハガキには「木彫帯留・木版画・和紙ワークス」とあります。確かにそのとおりなのですが、これらの単語からはけっして想像できない、小さな、ユーモアとウイットのある、大人の遊び心といった沢山の作品が展示されていました。帯留めが素晴らしかったのですが、今日は敢てこちらのお話です。
これはペイパーウエイトです。そのわりに重くありませんが、風の強い窓辺でなければ問題なさそうです。紙を丁寧にたたんで重ねて束ねたものを細い麻紐でしっかり束ねてあります。このように小さく折り畳んだ紙に千枚通しを通すのは、思うよりずっと難しいでしょう。どれも5センチほどの大きさで、全部違う紙、全部違う束ね方で、何か精緻なミニチュアの風情です。
紙は和紙のようですが、江戸唐紙といい、障子の紙とかなんとか‥‥‥‥。古い大福帳を使ったものもあります。その中から選んだのは千鳥のような、飛ぶ鳥の絵のあるものです。これだけはかなり下で束ねてり、上が広がった形をしています。また、束の外側はきれいに畳んであるのに中央がデコボコしているところは面白味があると思いました。
このビルのギャラリーで個展を開く人達は、とうぜんこのビルの雰囲気が好きなのだと思います。その時点で既に作家達と私との間に(価値観や美意識に)共通点があるのかもしれません。小さなギャラリーをいくつかのぞくたびに展示された作品にどこかしら惹かれてしまったのは、そのせいかもしれません。
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