お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2007年8月31日

老眼鏡・いろいろ



2年前に作った老眼鏡は、読書やパソコン用です。しかし最近は小さい文字を読んだり、細かい繕い物などが難しくなり、大きくくっきり見えるものが欲しくなりました。

そこで春の陶画舎のセールでは、細かいポーセリン・ペインティングのための拡大鏡がデパートの通販カタログなどよりずっと安く出ていたので買ってみました。しかしこれはテーブルの上に置いて使うもので、姿勢の自由がきかず、作業によっては不便でした。昔ながらの虫眼鏡では、文字を読むのはよくても両手を使う作業ができません。やはり眼鏡が一番よさそうです。

というわけで、100円ショップの老眼鏡を買ってきました。お店によるでしょうが、キャンドゥではほとんどがプラスチックのフレームで、形もあんがい今風です。いちおう自分に似合うものの中から焦点距離の異なるものを3つ選びました。(老眼鏡の0.5とか2.0という数値は度の強さではなく焦点距離だと聞いたことがあります。目からどれだけ離れたものを見たいのか、です。)

実際に使ってみると、1.0がちょうどでした。眼鏡屋さんで作った老眼鏡との一番の違いは、当然ながらレンズの透明度です。しかし映画を見たいのではなく、説明書きを読むなど短い時間のことですから、当面の必要はじゅうぶん満たすと思います。

2007年8月30日

パンプリン・いろいろ



「パンプリン」て、パンで作るプリンという意味ですが、これは共通語?

食べきれなかった食パンでときどきパンプリンを作ります。その日はパンが余ったのに加え、間違えて卵を買いすぎたため作りました。こういうおやつは目分量で作れるので楽です。焼けたらメープルシロップ、あれば生クリームをたっぷり添えて食べます。下手なケーキを買ってくるよりずっと美味しいと、いつも思います。

しかしこの日は食べながらふと「ここにハムやチーズが入っても美味しそう」と閃き(多分そういう食べ物はすでにあるでしょうが)、翌日さっそく甘くないパンプリンを試しました。

いつも使う耐熱ガラスの容器で卵と牛乳を混ぜたら、お塩を少々と、この場合ナツメグとオールスパイスを少々入れました。パンはトーストして薄くバターを塗って4つ切り。この器にはそのパンがちょうど6つ並ぶのでそれを1段として、器の中でサンドイッチにするわけです。パンが卵と牛乳をじゅうぶんに吸い込むのを待って、電子レンジで加熱した薄切りタマネギ、ハム、スライスチーズを段々に重ねました。ついでに薄切りにして水で灰汁抜きしたお茄子やプチトマト(ありあわせ)も並べ、その上によく浸したパンを並べて天火で焼きました。

焼き上がって少し冷ましたのを食べてみると‥‥‥‥うまいのです!

その後も続けていろいろ試しました。20分くらい焼きますから野菜は生の薄切りで大丈夫でした。チーズはとけないスライスチーズがよいようです。〈タマネギ、ハムまたはベーコン、チーズ〉が基本で、〈タマネギ、ツナ、トマト、チーズ〉もいい感じでした。たぶんキッシュの感覚でいいと思います。きのこ、ほうれん草、鮭等々もよさそうです。軽い食事にぴったりです。(写真は9月4日に作った第4弾です。)

2007年8月25日

オモチャのようなお匙


石神井の仲間の間では「おさる」で通っている「ヤト・カフェ」のことは別項をもうけなきゃいけませんが、カワイイものを買ったのでまずはその話です。

プリンやゼリーに付いてくるようなプラスチックのお匙でも、フランス雑貨となればこのカワイさです。もちろん使い捨てなんかにはしません。(8月21日)

シリコンのお勝手道具



隣の駅のピーコックにシリコン製のお勝手道具がいろいろ並んでいました。シリコン素材の道具は熱に強く(耐熱230度)、やわらかく、色もきれいなのが特徴です。他に氷にも焼き菓子にも使える焼き型、へら、目玉焼きを焼くときなどの枠、コップなどに使う蓋等々があり、うれしい500円均一でした。


《鍋つかみ》
天火から焼き上がった物をとるとき、蒸し器からお皿を取り出すときなどに便利そうです。なにしろ色がきれいで。
しかし、買って帰ってから手にはめてみると大きすぎました。ポケットの奥まで親指が入らなくて、熱いものをしっかり掴めないなら危険です。手の大きい人にあげるしかなさそうです。



《じょうご3点セット》
よくある大小に加えて、先の太いのが珍しいと思いました。こんなの初めてです。どろどろしたもの、粉、粒など、普通の液体以外に使えます。外側はつや消しで内側はツルツルしています。(8月22日)

(雑談)夏のおわり

今しがた(お昼前のこと)オーシンツクツクを聞きました。ミンミンゼミなら安心して遊んだり寝転がったりしていますが、この声を聞くと夏休みも終わりだなと思います。「あ〜宿題をやらなきゃ、どうしよう‥‥‥‥」と焦るわけです。小学校、中学校、高校でも? そして今でも必ずそれを思い出します。子供時代に焼き付いた連想はダイハードです。

そういうわけで、今日明日は暑さに負けてこれまでサボった分を一挙に挽回したいと思います。パブロフの犬ですね。投稿の日時は「やったつもりの日」というわけで、絵日記の宿題のように作為的です。過去の投稿の間にも紛れ込んでいますから、よろしかったら少し遡って見てみてください。よろしく。

2007年8月23日

萬珍楼のセイロ入り

19日は元町の帰りに中華街に回って「すっぱいラーメン」を食べるのを楽しみにしていたのに食欲減退。とても食べられそうになく諦めました。

その代わりおみやげに萬珍楼の焼売とおこわを買いました。そのまま蒸せるように中華セイロに入っているのがいい感じだったのです。冷蔵庫に入れて数日もちます。冷凍も可能ですが味が落ちるそうです。

果たしてすごくいい感じでした。袋から出してビックリ、お土産にぴったりです。セイロは予想に反して本物で、しっかりしており、お皿に盛るより気分が出ますし、何度も使えそうです。かんじんの焼売はセイロごと蒸し器に入れて15分蒸します。黒豚、椎茸、海鮮の焼売が2つずつ。ずっしり重みのある中華料理店らしい焼売でした。しかし後でゲップが出ましたから、ちょっと減点です‥‥‥‥

日を改めて食べた「香港おこわ」は小さく刻んだ具がたくさん入って干しえびの風味がして、こちらは美味しかった! 

この2種類を蒸す間に菜っ葉の油炒めと卵のスープでも作ったら、2人分のごちそうランチになりそうです。

2007年8月20日

元町のコロッケ


元町のユニオンというスーパーは広尾の麻布スーパーマーケットの姉妹店だったと思います。他の町のお店にはいつもとちょっと違うものがあって、用がなくても入ってみるのが楽しみです。今は昔ほど違いがないといえ。

作りたてのコロッケやメンチが紙袋に入って並んでおり、おいしそうだったのでじゃがいものコロッケ(5個入り)を買いました。あつあつならばすぐ食べたいのが当然。お店の前のベンチに腰掛けて、続けて2つ食べました。サクサクおいしかった!(そのせいで、この後中華街へ足をのばしたのに「すっぱいラーメン」を食べられなかったのでしょう。)

残りの3つは帰って家族と食べましたが、やっぱりおいしかった! 次に元町へ行ったときのおみやげが一つ増えました。(8月19日)

「黒わらび餅」



元町ユニオンで、レジを待つ間に目に入ったから一緒に買ってみたお菓子です。黒砂糖を使ったという黒いわらび餅で、冷蔵庫でよく冷やすとスーパーのお菓子とは思えぬおいしさでした。「黒きなこ」と書いてある袋がついています。黒というより、少々茶色っぽくて顆粒っぽいきな粉で、ふりかけるとさらに美味でした。(ひと口食べてしまってから「これは覚えておきたい」と思い、慌てて撮影しました。失礼。)左にあるのは容器をくるんであった帯です。

十代の頃から夏といえば水ようかんが好きでしたが、去年あたりから冷やしたわらび餅に目覚めました。ちょっと強めの「ぶよん」の感じがいいんです。(8月19日)

2007年8月18日

うるわしのバチック


板橋区立美術館前からバスに乗って成増に戻ると、そこから吉祥寺行きのバスがあるのを思い出して、ついでに吉祥寺へ回ることにしました。数日前リーメントを買いに池袋の東武デパートの玩具売場へ行くとお目当ての品物がなかったため、同じくらいリーメントの在庫が充実している吉祥寺のユザワヤへ行きたかったのです。また試し編みの毛糸をいくつか欲しくもありました。

しかしユザワヤの毛糸売場の階は生地売場の奥で、そこで思っても見なかったバチックのワゴンセールに遭遇してしまいました。バチック(バティック/batik)はインドネシアのろうけつ染めです。ジャワ更紗ともいいます。私はこれが大好きなのです。

インドネシア製、100センチ巾の220センチの着分で4800円のところ1980円! もう最後の売れ残りらしいのですが、折り畳んだ状態で20枚くらいありましたか。これはすごい。インド綿の簡単服を買い込んだばかりなのに、バチックの山を見たら所有欲がフツフツとわき上がり、長い時間をかけて4枚選びました。(できればあと2枚欲しかったのですが。)

木綿地ですから何にでもなります。衣類、インテリア、袋物、その他。一つの柄はぜひアオザイ風のチュニックにして着てみたいと思いました。でも私は洋裁が下手ですから、生地のまま持っているだけでるんるんです。


さて、バチックでかなりのエネルギーを使ってしまった後でしたから、毛糸売場へ行ってもピンときませんでした。昔っぽくていいなと思ったパピーのツイード糸はカシミヤで1玉2100円もしましたし。そして上の玩具売場へ息ましたら、やはりお目当てのリーメントがありません。そこでパワーが切れました。「大人買い」したかったのに、ぼやぼやしている間にメーカー在庫切れ状態‥‥‥‥だとしたらトホホです‥‥‥‥(8月16日)

2007年8月17日

板橋で「ボローニャ国際絵本原画展」


理科系研究者のYさんが絵本の展覧会の招待券を送ってくれました。(春にもいろいろ送ってくれたのです。持つべきものは友ですね、ぬあんちゃって。)それで板橋区立美術館へ行きました。

気になる作品がいくつかありました。備忘をかねて書いておこうと思います。

● ドーテ・カーベク (Dorte Karrebaek)
●「三人組 その2 カルロが大きな犬にくいちぎられた」2006年/デンマーク(5点展示)

「ニューヨーカー」の洒落たカリカチュアみたいな擬人化した動物の絵で、淡い彩色のかわいい感じです。しかし凄いんです。犬みたいな3人組の1匹が「大きな犬」に食べられてしまったのでしょう。どうやって捕まえたかわかりませんが、その「大きな犬」を釣るして、おなかを切って腸を出して仲間を助けているようです。血だらけですよ。「手術」の後はおなかを縫合するのですが‥‥‥‥ どういう物語なのか、出版された本を見てみたいものです。

ホームページを見つけました。これは‥‥‥‥こういう人が子供の本を描くって‥‥‥‥
http://www.dortekarrebaek.dk/books.php

● ディボル・カールパーティ (Tibor Karpati)
●「赤ずきん」2006年/ハンガリー(5点展示)



この展覧会のリーフレットに使われていますから、評判の高い作品なのでしょう。16ビットのコンピュータ・ゲームのような絵が、強烈な印象を与えます。ゲームの画像が大きく進歩して、当初を模したこういう単純な色と形は逆にアートとしての価値が生じるのだと思います。とても新鮮です。

● のだよしこ
●「ちびこぶたちゃん」日本(5点展示)

1980年生まれ!(と驚いてから、あ、27歳なのね、と溜息をつきました)の日本の作家です。ひとめ見てカワイイ!と思います。水彩画で、いずれも真四角の画面を手作りハンコの連続模様で縁取ったのが素敵です。人気のある作家のようで、美術館の入り口の「ゲート」やガラスのドアにも、この絵本からの絵が飾りに使われていました。



他にも「ノンフィクション部門」の入選作で、フランスのイレーヌ・ボナシナ (Irene Bonnacina) の絵がみごとでした。動物の雑種についての絵本で、古来からの様々な動物を黒インクと濃淡で、説明的でありながらコミカルな素晴らしい感じで描いています。なんと達者なペンさばき‥‥‥‥と見とれました。しかし展覧会の図録を見ると、この人の作品は印刷すると少々風合いが損なわれるようです。
(8月16日)

スコア仕入れました

昔好きだった西洋の名曲をGarageBandでいじっています。そろそろ新しい楽譜が欲しくなりましたが、大きい楽譜売場があるのは銀座のヤマハと山野くらいしか知らなくて、なかなか行く機会がありません。しかし池袋西武の本売場があったっけと思い出して寄り道しました。ところがピアノ用とポピュラー音楽のバンド用の楽譜が多く、日本楽譜出版社のスコアは小さな本棚一つで、売れ筋を微妙に外した品揃えでした。それでもいろいろ仕入れました。

● ヘンデル 「水上の音楽」
● ヴィヴァルディ 「海の嵐」
● バッハ 「フーガ集(2)」
● モーツァルト 「アイネクライネナハトムジーク」

他にヴィヴァルディの「四季」、バッハの「小フーガ」といったウルトラ・メジャーの楽譜が欲しかったのですが置いてないのでしかたありません。あとは適当に見つくろい、

● ヴィヴァルディ 「協奏曲 ト短調」
● バッハ 「バイオリン協奏曲 第2番ハ長調」
● テレマン 「ホルン組曲」
● ヘンデル 「合奏協奏曲 ニ短調」
● ハイドン 「弦楽四重奏 第76番 通称『五度』」

正直なところ題名を見てもメロディなど思い浮かばない物々を選びました。日本楽譜出版社のスコアは小さくて安くてありがたい限りです。バロック音楽以外ではバルトークの管弦楽やラベルの合唱曲が欲しいのですが、そういう楽譜にはとんとお目にかかれません。あったとしても輸入物で一部分のみでペラペラで数千円、なんてことなのかもしれません。(8月11日)


(追記)さっそく「水上の音楽」の一番有名な曲を作りました。今朝ケロログにアップしましたので、よろしかったらどうぞ。

(夏休みの宿題の再来のような)

8月に入ると暑い日が続き、頭はぼーっとして、とても文章など思いつきませんでした。書きたいことは沢山あったのですが。

子供時代の夏休みの宿題や絵日記のように、これから追い込みに入ります。書きかけを仕上げて、できた順にアップしようと思いますが、元々の日付を使いたく、いつの間にか過去が増えていることでしょうが、どうぞご了解くださいませ。

2007年8月16日

禁断のゲーム


とうとう買ってしまいました。禁断のゲーム。

実はイギリスやアメリカのYahooにあるゲームが好きです。ゲーム会社が製品の簡易版を無料で提供しているもので、「気に入ったら買ってね」という感じです。冬頃に初めてGameHouseというアメリカの会社から「Luxor」というゲームを購入しましたが、3月にマックを壊して封印されてしまいました。(ID番号の控えがあっても、機械が変わると無効なのですね。それはバックアップしたメールソフトのデータも同じでした。困ったものですね。)

しかし、やはり、だんだん何か欲しくなり、とうとう買ってしまいました。今度のは「Rainforest Adventure」です。前のと同じくタマを3つ以上並べて消していくという種類のもので、この場合は一つの画面を終えるたびに熱帯雨林を進んで行くという趣向です。絵がとてもきれいです。もっともメニュー画面の絵で「七人の小人」に出てくるような赤いキノコが生えているあたり、どこまで「熱帯雨林」なのか疑問ですが、とりあえず絵がきれいです。

テトリス、さめがめ、クロンダイク(でしたっけ?)といった種類の、最大限単純なものが好きです。(プラス、色や絵がきれいなもの。)朝から晩まで、あるいは夜っぴいて、平気で続けられます。とくに、頭がゴチャゴチャしたときには頭が空っぽにするのによくて、空っぽになるまでひたすらやります。純然と時間の浪費のときもありますが、少しは役に立ってもいるのですよ。(いいわけ)

RPG(roll playing game)は予め物語ができていて、細かい設定やきまりが出来ている中で自分が登場人物の一人になってゲームをするものですが、どうも苦手でやったことがありません。そもそも物語を追うなんて面倒臭いし、だいたい他人の作った物語の中に入るところがつまらないからです。そういうのが面白いのは作る人であって、遊ぶ側の人ではないと思います。

しかしゲームといえばいわゆるRPGが一般的かもしれません。現実との区別がつかなくなって問題を起こすのはこちらですし、「ゲーム脳」なんて言葉もあります。他人の作った物語に簡単にひれ伏してしまう人達って、ちょっと怖いと思いますが。
(8月4日)

2007年8月11日

きわどいミニチュア椅子


リーメント同様の、中身のわからないオモチャのシリーズです。お菓子は入っていませんが。9種類ずつの発売で、もう第5シリーズだそうですから人気があるのでしょう。(私も1月頃に2つ買い、これで4つになります。)いわゆるデザイナーの椅子のミニチュアです。

それにしても、このオモチャが1つ525円とはべらぼうな。シリーズごと9種類で出ていますから全部買ったら4500円。ふざけています。この椅子が10個くらい入りそうな大きな箱入りですが、中国製のプラスチックですから、100円でたくさん、せいぜい250円ではありませんか? それに本当に有名な、有名な、超有名なデザイナーものの椅子は、ライセンスもなくクレジットもなく勝手に作っちゃっていいんでしょうかネ? そりゃ、欲しいけどですね。

地下鉄の外苑前の近くに(名前を忘れてしまいましたが)椅子専門の大きなお店があり、そこにはモダニズムを中心とした有名な椅子のミニチュアを何十種類も売っています。正確な縮尺で作ってある本物で、いちばん単純な形の椅子でも2万円近く、革張りの豪華なものは3万数千円という贅沢なコレクションです。それに比べたら‥‥‥‥ということなのでしょうか。それにしてもべらぼうですよ。欲しいんですけどね。(8月9日)

レアック・ジャパンのホームページ

2007年8月10日

思い込みのバッヂ



前に書いた「アートなガチャポン」のインサイド・ストーリーです。

(昨年11月、大竹伸朗「全景展」開催中の東京都現代美術館売店にて)
ガチャポンで「石膏像」を買っていると手持ちの百円玉がなくなって、すぐ近くのレジで両替してもらいました。くずした硬貨を握りしめ嬉々として戻ってくると、冷静な声で友達のHが言いました。
「大竹くんが見てたわよ。」
唐突で意味がわかりません。しかし、ガチャポンしか頭にない私がレジのカウンタで行き来するお金を目で追っている間、横に大竹伸朗がいたと言うのです。
「ハズカシッ! 何度も見に来て、来るたびに会っちゃって、変な人だと思われたら嫌だから知らなかったことにする。」
私はちょうど背を向けた格好でしたから、そのままガチャポンに取り組みました。実は彼女は中学校で未来の画家と同じクラスでした。でも当時は好きではなかったし、相手も自分を覚えていないだろうと言います。そして私は36年前の片思いのまま、たまにお喋りしたくらいの知り合い未満というところ。「なんなんだ」と呟きつつ私達はガチャポンに集中しました。しかしHは「また見てる」、しばらくして「まだ見てるわよ」と言いました。それが不自然に長い時間でしたので、努めてさりげなく振り返ってみますと、商品の陳列台をはさんで大竹伸朗が本当にまっすぐこちらを見ています。(行きがかり上)会釈しましたら、あちらもチョコンと会釈して、クルリと行ってしまいました。

ああ、そんなときはすかさず「まあ、こんにちは!」と笑顔で駆け寄って「ご盛況ですわね」などとアメリカンに振る舞うべきでしたか? 後でHに詳しくきくと、レジの所では男の人と一緒で、その人と去った後、すぐに一人で戻ってきてこちらを見ていたそうです。一体何だったのでしょう? 私に話したいことがあるのに言い出せず、離れたまま立ち尽くし‥‥‥‥という物語だけは100%ありえません。だから、それなら何故? 不思議でなりませんでした。

それからひと月以上たった12月23日、展覧会最終日の前日、一人で見納めに行きました。さすがにたいへんな人出です。この日は入場のモギリで一人一人にオリジナルのクリスマスカードが手渡されました。こういう楽しいことをする人なんですね!

そしてガチャポンの「石膏像」を買い足しに売店に行くと‥‥‥‥間違い探しの絵のように、前とは違う箇所に気がつきました。売店の手前の隅に大きなピカピカのガチャポンが設置してあります。若い男の子がいじっています。近寄ってみれば、大竹伸朗が作ったという、自身の作品をプリントした缶バッヂではありませんか。ポーン! 蓮の花が開くように私の妄想力がはじけました。もしかしたらあのとき、いい年のおばさん二人が展覧会と無関係のガチャポンに興じているのを目撃して、画家は「オッ」とひらめいたのではないでしょうか。
「あれを自分で作ったら面白いカモ。バッヂなら作れるな。(彼は缶バッジを作る機械を持っています。)ケースと機械をどこで調達しようか‥‥‥‥」
私の後ろ姿(の先にあるガチャポン)を熱く見つめながら、きっと頭の中でそんな事柄をクルクル回転させていたのでしょう。

そう思い込むと感動もひとしおの展覧会土産です。
Photo: two can badges handmade by Shinro Ohtake, as suvenirs for his retrospective "Zenkei" exhibition at the Metropolitan Museum of Modern Art, Tokyo, 2006.


追記1:とまれ私はガチャポンのバッヂを2つ買いましたが、大当たりを当てたと思っています。これは東京では地階の吹き抜けの展示室に展示していた大きな緞帳がモチーフのバッヂですが、中央に画家その人が立っているのです。(これの全体の写真は雑誌にも載っていましたね。)

追記2:東京の展覧会ではとうとう会期中に発行が間に合わなかった展覧会カタログでしたが、なんと未だ完成していないそうで‥‥‥‥どうしたんでしょう、気になります。

2007年8月4日

アートなガチャポン


昨年の10月から12月、私はお祭り気分でした。予告を聞いてから2年あまり、待ちに待った大竹伸朗展が開催されたからです。大竹伸朗は現代美術で一番好きな画家です。むろん待っていたのは私だけではなく、会期前・会期中はアートに限らず多くの雑誌や新聞が特集を組みましたし、テレビの「新日曜美術館」でも紹介されました。そして私は会場の東京都現代美術館へ何度も見に行きました。しかし今日は200号のタブローを落札した話ではありません。

美術館へ行く楽しみは売店(ミュージアム・ショップともいう)にもあります。昨今は日本の美術館も展覧会カタログと絵はがきの他に、アメリカの美術館にならって多様なオリジナル・グッズや欧米のアートなグッズ、美術書などをたくさん揃えて、カラフルで楽しい場所を作っています。この美術館の売店(ミュージアム・ショップともいう)はタテもヨコも広々とした空間の中にあり、品物も豊富でした。手前半分が展覧会関係の品、向こう半分がいつもの品というふうに分かれていて‥‥‥‥しかしその中間にガチャポンがあるのに気づいたのは11月、3回目に古い友達のHと行ったときでした。

縦に2台重なっており、しゃがみこんでよく見ると、 なんと石膏像のミニチュアです。ケースの中身は保護のため白いものに包まれて見えませんが、それぞれ同梱の説明書に中身の名前が書いてあります。誰でも学校の美術室で見たはず、美大を目指した人なら嫌というほど見たはずの、アレです。それが1個200円! さっそく欲しくなりました。とはいえ私、ガチャポンは初めてです。子供と買った経験のあるHの指導のもと、お金を入れ、ガチャン。レバーを回すたびに楽しくなって、5つ買いました。途中2度同じものが出ましたが、幸いこの手のオモチャが嫌いではないHが両方とも買い取ってくれました。ありがたいことです。

その後地下で一休みしました。ケースはとても固かったのですが、Hが爪だけでなんとか一つを開けてくれました。白い包みを開くと組み立て式のブルータスが現れて、素晴らしい作りに二人ともビックリ! 質感といい重量感といい、立派です。家に帰って全部を開くと、ブルータス、ヘルメス、マルス、いずれもみごとな「大理石タイプ」でした。ラインナップは「大理石タイプ」と「石膏タイプ」れぞれ10種類+シークレット。昔デッサンした像くらいは揃えたくなります。次に美術館へ行くときに買い足すことにしました。
Photo: Miniature of the Greek sculpture, Hermes; height 7cm.

製造元:(株)ユージン
(ホームページの「商品検索」で、商品名の欄に「石膏デッサン入門」と入力してください。)


(追記)これはブログを始める準備中だった今年の3月に書いたものです。その後入手した「石膏タイプ」は更に素晴らしいものでした。ときに大竹伸朗の展覧会「全景」は現在福岡を巡回中、10月には広島で開催とのことです。

2007年8月2日

アイロンプリント失敗例

簡単なはずのアイロンプリントも油断は大敵でした。

透明・つや消しのアイロンプリントです。最初は軽くアイロンをあてて膜を生地にくっつけます。次に本格的に定着させますが、そのさい両手でアイロンを持ち、身を乗り出すようにして体の重心をかけて押さえるのです。その重みをかけるところ足りなかったようです。熱がさめてから紙をはがすとき、まず紙がよくはがれません。次に膜の定着が不十分で、紙をはがすと一緒にはがれてしまいました。さらに下三分の一くらいは生地からうきあがったようでした。はがした紙をあてて、もう一度ちゃんとアイロンをあて直してみましたが、下の生地の色がうまく透けずに白っぽいままでした。

部屋で着た後に洗濯(手洗い)しました。上手くプリントできたシャツと一緒に洗いましたが、そちらはまったく問題なく、こちらは写真のようにひび割れしてしまいました。(とはいえこのシャツは今後も室内用として着ますよ。)

次回は手ぬかりなく作りたいと思います。(7月19日)

2007年8月1日

三波春夫の「歌芸の軌跡」



今週の月曜日の夜、テレビの3チャンネルの「こだわり人物伝」で再放送をやっていました。森村誠一が三波春夫を語るシリーズで、以前見て感激した番組です。三波春夫の、「光源」ともいうべき天性の明るさについて、その声の素晴らしさについて、また生い立ちやソビエト抑留について、あるはそれを聞くお客について等々、ああこういう人を本当の「国民歌手」というのだと思ったものです。(「国民的歌手」の「的」は不要ではないでしょうか。)

「東京五輪音頭」も「世界の国からこんにちは」も、私はその時代に聞きました。東京オリンピックのときは小学生で人並みにテレビを見ましたし、大阪万国博覧会のときは中学生で、強い反感を抱き、万博関連のテレビも記事もけっして見なかったものです。とはいえ今となってはいずれもニューズリールの中の、この国の古ぼけた幸せな過去のようです。しかしそのテーマソングはというと、何も変わらず、まったく色あせず、今もここにあるんですね。

番組では泉麻人(だったと思いますが)がちょこっと出て、「三波春夫の歌には懐かしさがない」という言い方をしていました。少し奇妙な言い方ですが、なるほど言葉にすればそのとおりだと思いました。普遍的であり、時空を超えて過去にならないという感じです。それはたぶん三波春夫の歌が(とくに誰でも知っている大ヒット曲は)歌詞、曲、演奏、声、歌い方、そして誰の目にも浮かぶ三波春夫の衣装や歌いっぷりを含めた全てが混成する、一つの完成された様式を持つということでしょう。

もちろん若い頃からのファンではありません。欧米のポップカルチャーに心酔する60年代70年代には三波春夫や美空ひばりといった歌手は悪趣味の権化のように思いました。しかし年をとって聞けば「本物」とはかくあらんやとわかるのです。そしてわかったことを喜びます。しかしこの国ではこういう高度な大衆文化というものは既に絶滅しました。

月曜日の夜に番組を見て、改めてこういう歌は「一家に一枚」必需品だと思い、そのままネットで注文しました。それが水曜日の今日の午後には届きました。(アマゾンでもこんなに早いことがあるんですか。)

DVDも欲しいのですが今回はCDにしました。2枚組で、1枚目は「ベストヒット歌謡曲集」20曲、2枚目は「長編歌謡浪曲集」8曲。いや〜、素晴らしい。

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