お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2011年6月29日

東電の株主総会


6月28日、東京電力の株主総会に行ってきました。ご推察のとおり初めてです。問題意識と好奇心のまじった気持ちでしたから、前日まで「警察官150人配備」「テロを警戒」「機動隊」そうした言葉をよく目にしましたし、ネットでは福島からバスで開会前のアピールにやってくる話とかチッソの株主総会との比較する人もあり、少し心配でもありました。

しかし現実はときおり野次が飛ぶものの「上品」なもので、あれは実はよくある原子力発電所施設内の微量の放射能漏れ事故だったのじゃないかと錯覚しそうでした……

会場ではニコニコ動画が生中継をしていました。生中継だけの予定が冒頭部分でエラーがあったとのことで、特別に30分ほど再放送をしています。公開期間が限られると思いますので、ぜひ今ごらん下さい。

● 【録画放送 6/28・10:​00開始】東京電力 第87回​定時株主総会 

(追記:7月1日)上の録画の公開は終わったようですが、こちら(YouTube)で一部を見ることができます。

動画は4分を過ぎてから取締役が登場、ブザーとともに開会し、まず勝俣会長が挨拶をします。ここはひとつ、内容ではなく会長の声を聞いてください。ゆっくりとおだやかで、しかしはっきりとしたお爺ちゃんの声です(1940年生まれ、ジョン・レノンと同じ。御年71才)。この声と調子と態度と姿勢が、休憩なし昼食なしおやつなしの6時間15分の間、まったく変わらないと想像してください。誰に対しても、どの意見に対しても、何があっても、です。他の役員も必要に応じて説明に立ち、国会中継で見るお役人の答弁のように話しますが、それ以外、全員静止画のように姿勢を崩しません。誰ひとり、ただの一度でも言い淀むことがありません。あと2時間続いても同じでしょう。……なんかもう勝負あり、という気がしました。

とり急ぎご報告です。白状すれば私は途中で何度も居眠りしました。録音を聞き直してあらためて思うところを述べたいと思います。(写真をとったら注意されましたから、録音もしちゃいけなかったんでしょうけどネ。)

コーヒー@プリンス・パーク・タワー



その昔はアメリカン・センターのインフォマット図書館やABCホールへ、80年代には御成門に職場があり、芝公園や芝プリンスにも何度か行ったり通ったりしましたが、すっかり様変わりです。ホテルはプリンス・パーク・タワーという摩天楼になっていました。

総会終了の後ゾロゾロと出口に向かう途中にラウンジがありましたから、一服したいと思って寄りました。(私なりに疲れました。)ゆったりとして、細長い店内のガラス窓が大きくて明るくて、空と石垣と樹木以外何も見えないというとても気持ちのいい場所です。よく晴れた日でしたから、実際は写真よりもずっと明るくて広々としています。でも早く帰らなきゃならなくて、15分の間にぼーっとしてコーヒーを飲んで出ました。チョコレートのクッキー付きのコーヒーは1200円でした。ひぇ〜! でもほんとにいい場所で、ひととき寛ぐことができました。


しかし帰宅してネットを見ていたらこんなやりとりがありました。次の機会があれば行ってみたいと思います。

180 :名無しさん@涙目です。(catv?) : 2011/06/28(火) 15:06:56.25 ID:eOKVDGc4i
さすがに疲れたから、本会場出たわ
近くで飯美味いところ教えてくれ
つか、誰か食いに行かない?
194 :名無しさん@涙目です。(関東・甲信越) : 2011/06/28(火) 15:09:19.75 ID:A8e6GMn6O
>>180
俺芝住みだけど、信号渡って区役所を抜けた通りを右に曲がった小さい店の洋食が美味い
201 :名無しさん@涙目です。(catv?) : 2011/06/28(火) 15:11:01.09 ID:eOKVDGc4i
>>194
おお、サンクス
なんてところでしょうか
220 :名無しさん@涙目です。(関東・甲信越) : 2011/06/28(火) 15:13:14.51 ID:A8e6GMn6O
>>201
穂久斗って店

● 全文はここ

2011年6月26日

オンキョー・ダイレクトのアウトレット


オンキョー・ダイレクトは老舗の音響機器メーカーのオンキョー株式会社の直販サイトです。とくべつに安売りが自慢ではなさそうで、価格では量販店やamazonに負けます。しかし欲しい製品が確実に買えることやアフターサービス、ポイント制などに利点がありそうです。

特記すべきは産地直送ならではのアウトレットがあるのですよ。初期不良その他の理由で開封後に返品されたものを、オンキョーの技術者が調べた上で必要なら修理を施し、使用に問題ないことを確認して販売しているとのこと。ですから製品や付属品や説明書などは使用に差し支えないわずかな傷や汚れがあるかもしれず、返品・交換はナシで、送料は一律無料、メーカー補償は1年間です。そういう物がハナから苦手は人は別ですが、これはかなりおとくでしょう。

すごく神経質な人がどうでもいいようなことを理由に返品したものなら「アタリ」ですね。機械に変な癖のあるものだと「ハズレ」かもしれませんけど。

そこでかなり上等なパソコン用のスピーカー「GX-100HD(B)-Q」が出ていましたから買いました。(GX-100HD(B)と同じものです。)この続きはまた後日。(6月26日)


● このブログ内の関連記事です。スピーカーは6月28日に届きました。続編をパソコン用スピーカー GX-100HD(B)という題名で書きましたので、こちらもどうぞ。

ニットの帽子の「hats on!」


Hats On! -- 31 Warm and winsome caps for knitters
Charlene Schurch 著
Down East 刊
$14.95
(アメリカのamazonで送料別 $10.67 )

お気に入りの本だったのに、なぜか庭で何ヶ月も雨ざらしでガチガチに固まっていたのでした。2、3年前にamazonで買いましたが、もう一度見てみたらまだ売っていましたので注文しました。日本のアマゾンからも買えますが、アメリカの送料込みの値段より少し高めです。1冊だけ注文するなら日本のアマゾンで買いますが、他にもたくさん買うときには一緒にアメリカから買うほうが安いのではないかと思います。まあそういうわけで25日に届きました。

小さな地味な本ですが、基本的な形を中心にニット帽に必要なことが全部ある!といってもいいくらいです。伝統的な模様編みもたくさん取り入れられていますが、自分の好きな編み込み模様に変えてもいいし、色を変えたり糸を買えたり、実は種類は無限大に広がります。さらに、それぞれの帽子に大人や子供の複数のサイズの作り方が載っており、全体では赤ちゃんから大男まで対応しているのです。ですから、自分の望むサイズがなければ、少し太い糸や細い糸を使うことでゲージを変えてぴったりのものを作ることができます。

この本を買った年には帽子をずいぶん編みました。普通2玉、大きなポンポンなら3玉でできますから、余った糸や試し編みに買った糸などジャンジャン利用するといいと思います。

アメリカのamazonのページには、この本を見て作った人の作品が載っています。みんな作ったことが自慢なんでしょう。
(6月25日)

2011年6月25日

東京都民はみな東電株主!

何につけデモや署名活動はやってもあまり効果がないしやった気もしないと思います。(ささやかな行為のわりにはしっかり公安に写真を撮られているそうですし。)しかしもう原子力発電はやめてほしいと考える人々に興味深い提案がありました。6月25日(土)の「パックイン・ジャーナル」でのことです。(本日の出演者:山田厚史、今井一、二木啓孝、マエキタミエコ、横尾和博、司会:愛川欽也。「朝日ニュースター」というテレビ局で、土曜日午後7時、日曜日午前1時、月曜日午後9時、火曜日午前1時に再放送があります。)


東京都民はみな東電株主である!

◎東京都は東電の大株主である。(株主93万3031人のうち第5位、4267万6千株保有、出資比率2.2%)
◎東京都は都民の税金で買ったのだから都民も株主なのである。
◎石原都知事は大株主として東電の株主総会に出席し、都民の意思として『脱原発』を訴えるべきだ。

東京電力にひとこと言いたい都民は
週明けに都知事に電話しよう!

こんな具合で電話すればよいようです。
「石原都知事に申し上げたいことがあり電話しました。この電話を知事つないでください。」
(普通担当部署にかわり「伝言を承る」と言われる。)
「東京都は東電の大株主ですが、私達の税金で買ったのですから私達も株主です。私達は原発ではない発電を求めています。都知事は東電の大株主として28日の株主総会に出席して、都民を代表して総会で脱原発を訴えてほしい。」
(名前や住所をきかれるからちゃんと答え、電話の相手の名前も必ずきくこと。)

都知事個人は反原発と思えないが、都民の代表として行動してもらわなければいけない。都民は選挙のときだけ主権者なのではなく今日も明日も主権者なのだから、要求すべきことは言わないと。都民が何も言わないからオリンピックの誘致の話などしているが、そんなことより大事なことがある。1万2万と電話がかかったら、都知事も動かないわけにはいかない。電話回線が(パンクしてはいけないが)パンクしそうなくらい電話をしたらいい。という内容でした。

東京都庁 〒163- 8001東京都新宿区西新宿2-8-1
電話03-5321-1111(代表)

東電の株主総会は6月28日です。電話をできるのは27日(月)1日だけですが、東京都民の皆様、たまには行動してみましょう!!

福龍園の冷し中華

いきなり暑い日が続して食欲も衰えます。そこで頭をよぎるのが冷やし中華! 今年の食べ始めは地元石神井公園の駅前商店街の端っこにある中国人さんの中華料理店にしました。

上の写真は酢醤油の「冷やし中華」。中国のお酢なのか、酸っぱさがいい味でした。トマト、きゅうり、鶏肉、おネギ、ゆで卵がのっています。下は「じゃーじゃー麺」。コッテリしたお味噌と麺の量のバランスがよくて上手かった。つめたいものばかりではナニですから、暑いウーロン茶を一緒に頼みました。冷やし中華はもう一つ「冷やし担々麺」があります。冷たくて辛い?……次回試してみます。

ここは中国人さんのお店で、安くておいしくて大盛りです。いつも元気で明るい中国人の若いお姉さん達がお給仕します。私はけして常連さんではありませんが、ほんとの常連さんであるM大学のA先生と一緒に行ったことがあるせいか、お姉さんは私のことを覚えていてくれて、久しぶりに行っても「髪を切ったのね」なんて声をかけてくれます。一人で食べに行くこともありますが、うちからは少し遠いので、家族と一緒に行くときは車椅子に乗せて行きます。すると、お店の外で車椅子から下りるのをわかっていて、いつの間にか出て来て年寄りが立ち上がるのを手伝ってくれたり、車椅子を店内に置くのに手際よく案内してくれます。そういう気遣いをとてもありがたいと思います。

唯一の問題は......盛りが大きい! 定食のおかずはまるで取り分けて食べるお料理のように2〜3人分あるかと思うほどです。食べきれないものは包んでくれますが、予め容器を持参するといいかもしれません。持って帰れると思えば、いろいろなお料理を注文できますし。(6月24日)

2011年6月24日

株主総会の季節ですね



昨日恵比寿から持って来た郵便物の山の中にこんなものがありまして、こんなことが書いてありました。


<株主(402名)からのご提案(第3号議案)>
第3号議案 定款一部変更の件
——株主(402名)からのご提案

○議案内容
 以下の章を新設する。
第7章 原子力発電からの撤退
 第41条 我が社は、古い原子力発電所から順に廃止・廃炉とする。
 第42条 我が社は、原子力発電所の新設・増設は行わない。

○提案の理由
 私たちは20年にわたり、原発震災・老朽化・廃棄物等、原発の問題について提案してきたが、取締役は総会のたびに「最大級の地震に耐えられるよう設計、建設」してきた(05年)などと述べ提案を拒否し続けてきた。一方で過去には、活断層の隠蔽・データ改竄などの不正を行ってまで原発の運転を続けてきた。その結果が3月の東日本大震災の惨状である。
 巨大津波により肝心の炉心冷却ができなくなったのを皮切に、水素爆発、炉心溶融、使用済み核燃料プールでの爆発、放射性物質の大量放出、住民避難、計画停電等。「想定外」の言い訳は許されない。
 放射性廃棄物についても具体的な処分は進められず、費用がどれだけ莫大になるか不明である。今回の事故が示したように、原発に頼るとCO2は最終的に増えてしまう。嘘にぬり固められ、未来の子どもだちに負の遺産を残し、地元に負担を押し付ける原発からは即刻撤退すべきである。

◇第3号議案に対する取締役会の意見

 取締役会としては、本議案に反対いたします。
 株式会社の定款は、主として会社の組織、事業目的、株式等の基本的事項を定めるものとされております。一方、会社法では、合理的、機動的な事業運営を確保する観点から、業務執行に関する事項については取締役会の決定にゆだねる事を基本としております。
 したがいまして、ご提案のような業務執行に関する内容を定款で定めることは適当ではないと考えます。

402名の株主さんのご意見はもっともです。当然ですよ。(「古い順に」は「危険な順に」でもいいと思いますが。)しかし「それは定款に書くことではない」と言われて返す言葉がありますか? 定款に今後の事業方針を書く義務はありませんから、取締役会の言い分は正論なのです。(「原発を続けるつもりだから反対」と言わずに反対できたということ。)402人の株主さんは脱原発ために株主をやっていると思われますが、どうしてこんなハナから門前払いを食うことをやるんでしょう。わかっててやるんでしょうかね。わかんないでやっているんでしょうかね。(それに定款では「当社」と書いてあるのに議案で「我が社」と書くのはなぜですか?)この場合私は第3号議案に「賛」「否」どちらにマルをつければ良いのでしょう?

というわけで、反原発路線など「事業執行に関する事項」に変更を望むには取締役会を動かさなければならないということですね。となりますと第1号議案と第2号議案ですが、経歴を拝見したところ東電の生え抜きばかりという新取締役と新監査役メンバー選任の件は「否」にマルですかネ。(社外取締役に小出先生を!とかネ。田岡さんと黒潮発電を!とかネ。)

だから402名の株主さんたちはむしろ「もう国民は原発なんか望んでないぞー、今後は原発以外の発電技術の研究開発に力を注ぐべきだ、それを可能にする取締役を選べー」、また「福島の後事故処理は今後も長く続くのだから、原子力の専門家も取締役に入れろー」「そうしないと株価の回復はありえないぞー」という圧力のほうが妥当なのではありませんか。相手はこのとおり「大人」です。↓

(略)なお、当社は、事故後の状況に鑑み、福島第一原子力発電所1号機から4号機の廃止と7号機及び8号機の増設計画を中止を決定いたしました。今後の原子力のあり方等につきましては、事故の調査結果や国のエネルギー政策全体の議論、さらには地域のみなさまのご意見も踏まえ検討してまいりたいと存じます。以上



これにマルをつけて投函すれば済むのですが、今年は向学のため芝のプリンスまで行ってみようかナ。


おまけ
● 【東京電力】株主総会控えるプリンスホテルが頭を痛める室温28度の「節電対策」 週刊ダイヤモンドの記事に2ちゃんのカキコがくっついています。86番の人……私も口では言ってましたが、私にはできませんでしたよ…… 事故のさなかに10億円だか東電株を買ったイスラエル人はその後どうしたんでしょう。

2011年6月23日

恵比寿の Teras


とっても暑い日でした。ふた月ぶりに郵便物を取りに恵比寿の部屋に行きました。帰りにTerasでアイスコーヒーを飲みました。一本入ったそのまた奥にある、恵比寿で一番好きな場所です。大きなテーブルでたくさんの手紙や書類やDMの腑分けをしました。そのあと渋谷区役所に行く予定だったのに、のんびりし過ぎて時間がなくなってしまいました。とさ。

2011年6月19日

「アリゾナ」という緑茶




ある日突然スーパーの棚に現れた妙にきれいな瓶が並んでいました。手に取ってみるとアメリカの飲物でした。「緑茶」と書いてあるのですが、そういうのはエキゾチックな雰囲気なんでしょうね。そして……朝鮮人参と蜂蜜入りだというのです。はあ?という感じですが、「100%ナチュラル」で保存料なしだそうですし、瓶がきれいだから買ってみました。

飲んでみると......甘い飲物です。緑茶の味はほとんどしません。お茶と思わなければ目先の変わったいい飲物かもしれません。(クイーン伊勢丹/473ml入り、288円)(6月15日)

2011年6月18日

アップルのキーボード


去年の12月に買ったMacBook Proの13インチです。15日に左のシフトキーが突然きかなくなりました。英単語や英文を打つときに大変不便です。左にあるコントロール・キーもときどききかないから、近々止まるかもしれません。(いつも飲み食いしながらダラダラ使っているため、気をつけているつもりでも飲物などが飛んだのでしょうね。懲りないやつです。)

数年前までのiBookでは、キーボードが表面に乗っかっている作りでしたから、我慢ならないまでキーが壊れれば2万円ほどでキーボードを買って自分で付け替えれることが可能でした。(やったことはありませんが。)でも今のノート型では本体に穴が空いていてキーだけ出ている形です。まるごと修理に出さなきゃならないんでしょうか。時間もお金もかかり、さらにハードディスクを空っぽにされても構いませんと一筆書かされたりするんじゃ嫌ですね。

それに比べたら新たにキーボードを買うほうが簡単で安上がりでしょう? というわけで渋谷に出たついでに買いました。アップルのキーボードにはUSBケーブルでつなぐのと、BlueTooth のワイヤレスがあります。ケーブルのキーボードは古いMacで使ったことがありますが、大きいしケーブルの位置がよろしくありませんでした。(そのキーボードがあれば兼用できましたが、マグカップのコーヒーをばちゃっとかけて即死しました。)こんどはBlueToothにしてみました。

同根の電池を入れてMac本体に合図を送れば、ドライバーのインストールなしにすぐ使えるのでした。これは便利です。またテンキーがない分小さいから扱いやすいし。MacBookのキーボードにちょうど載るし、膝の上でも使えます。ケーブルのキーボードより2000円高いのですが、こちらにしてよかったと思います。

別売りのキーボードは、MacのOSにも対応したwindows用がごく稀にあり、値段が安いのですが、アップル純正のほうがいいので念をおしておきます。第一に、アップルストアやアップルのサイトからいつでも買えること。サードパーティーの商品は量販店でもほとん売っていないので、探すのは時間の無駄かもしれません。第二に、当然ながら全てのキーがMacの配列です。コマンド、コントロール、オプションのキーとファンクションキーがそのまま使えます。(ウインドウズ兼用ですと、Mac独自のキーがありません。)第三に、各キーをカスタマイズしていても、自動的に読み取るらしく、キーボードが使えるときにはキーもそれまでのキーボードと同じになっている、という具合です。

ところでアップルストアの白人の店員さん、そうとう無知だゾ......。
(アップルストア渋谷店、6800円)

2011年6月17日

ウインウッドとクラプトン 2007

Crossroads Guitar Festival 2007 (DVD)



2007年7月にアメリカはシカゴで催されたギターの名人ばかりを集めたコンサート「クロスロード・ギター・フェスティバル」の実況録画です。お昼前から夜まで続くたいへんなお祭りだったようです。(amazonを見るとこのコンサートは2004年とか2010年のライブ盤もありますが、これは「2007」です。)イギリス盤のDVD2枚組を買ったのが16日に届きました。

CDも出ていますが、これはぜったいDVDがいいと思います。第一に(私の場合ですが)、名人ぞろいといっても知らない人が多いので、顔を見ながら聞いたほうがわかりやすいからです。第二に(これが重要ですが)、CDの音だけではわかりえないことが沢山ありました。小さな出来事、ミュージシャン達の表情や仕草や服装などなど。また舞台裏の様子とインタビューもたくさん入っています。

1枚目は司会者の予想外のイントロに始まります(クラプトンは遅刻したんでしょうか?)。60年代には長身で痩せてて病気がちであった白っ子のジョニー・ウインターが、骨と皮みたいな小さな小さなおじいさんになって座って演奏するのとか、ブヨブヨのキングサイズのBBキングが座って演奏するのとか、カントリー系の男女などが登場して、私は最初の Sonny Landreth がいいと思いましたが、私が聞きたいのは勿論2枚目です。

最初が John Mayer というすごく上手い弾き手の、若いもんならではの勢いのあるテク大全開。アルバムを聴いてみたくなるなあと思う暇もあらばこそ、次に「ロス・ロボース!」という紹介と共にやけに場慣れしたおじさんが登場しました。続いて他のおじさん達もゾロゾロと出そろうと、いきなりラテン系の一糸乱れぬ完全な演奏を繰り広げるではありませんか。首がないくらい太っちょなおじさんの切れのよい素晴らしい声、バンドの あまりのノリの良さに夢中で聞き入ってしまいます。Terrific!でございます。するとカメラはなんと舞台の裾に来て聞いているウインウッドの姿をとらえているじゃありませんか! 私も聞く耳を持っているなあと思いました。

Lo Lobos: Mas Y Mas

実はこのYouTubeの動画は上手に編集してあって、演奏も所々のべ2分はしょっています。

顎でリズムを刻みながら Los Lobos を見ているウインウッド。上の動画では切られてます。

その次がジェフ・ベックなのですが、ジェフ・ベックといえば1960年代の、ちょっと膝のすり切れたブルージーンズというイメージがあります。40年近くを経て、同じヘアスタイルに両腕を出した黒のチョッキという変わらないロッカーのいでたちでありました。今でもライブをやっているのかしらと思ってしまう若い人ばかりのドラムとベースとキーボードの四人組です。私はこの人の曲をほとんど聞いたことがないのですが、甲子園のピッチャーみたいに右手が粉で真っ白です。最初ギターを弾く手があまりなめらかではない気がしましたが、しだいに凄いことになっていくのでした。しかし問題はベーシストで、実の娘より若いのじゃないかと思う女の子で、ジャジーなすごい演奏を聞かせるのですが……Tシャツにノーブラで乳首が出てるよお。しかもベースを高く持っているから、やだなあ…… あれ? ブラしてるのかなあ。

そのあとがクラプトンです。ジェフ・ベックはクラプトンの前座ですか? かつては三大ギタリストと呼ばれていたのに。(エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、あと誰でしたっけ。ジミー・ペイジ? クラプトンが「スロー・ハンド」ならベックは「スティール・ハンド」と呼ばれていて、山下洋輔が「物を盗むんですか?」と言って笑わせてくれたものです。今の日本じゃ「ベック」といったら水島ヒロですかネ……?)

クラプトンは別に聞かなくてもいいので4曲とばすとウインウッドが登場します。すごい歓声。そこで私は「なぞの絨毯」を発見しました。後ろ上方から映したときだけわかるのですが、ステージ中央にはなぜかペルシャ風の絨毯が敷いてあります。(DVDの1枚目にはありませんでしたよ。下の写真のとおり、Los Lobosのときもありません。)そしてクラプトンは絨毯の真ん中で弾き、というかクラプトンのマイクがそこにあるのです。ウインウッドは絨毯の外。それって何かすごく変です。何なんでしょう???



二人の演奏は「Presence Of The Lord」から始まります。この1曲のためにウインウッドはあの木の年代物のオルガンを持ってきたのでしょうか。(メインテナンスが大変でしょうね。他の人も弾いていましたが。)最初はクラプトンが歌い、次からはかつてのレコードのとおりウインウッドが歌います。しかし作者であるクラプトンの自己主張なのか、途中から一緒に歌い始めて台無しにしてしまいます。続いて「Can't Find My Way Home」と「Had To Cry Today」です。YouTubeで見られるとおりです。


「Can't Find My Way Home」でギターを弾くウインウッドがクラプトンを窺うのですが(目と目で交信しているのかもしれません)、その表情にびっくりしました。まるで子供の目なのですね。なにかもう感覚だけのウルトラ・ピュア状態で頭が空っぽみたいな感じです。この人にとって音楽とはこういうものなのかと初めて知った気がしました。

そのあとクラプトンはギターを置いてステージを去ってしまい、ウインウッドのソロになります。徐ろに始まるのは「Mr. Fantasy」でした。いかにもウインウッドはトラフィックであり、トラフィックとは Mr. Fantasy なのですね。(80年代にあれだけ全米第1位のヒットを飛ばしていても、そんなのは黄金時代ではなく、そんなのが代表曲であるわけないのです。シンセサイザーの時代にはギターの名曲を作らなかっただけ、とでも?)

Dear Mr. Fantasy play us a tune
Something to make us all happy
Do anything take us out of this gloom
Sing a song, play guitar
Make it snappy

You are the one who can make us all laugh
But doing that you break out in tears
Please don't be sad if it was a straight mind you had
We wouldn't have known you all these years

再びクラプトンが戻ってきて皆で「Crossroads」です。60年代のクリームは大人っぽくてカッコよかった……。ウインウッドとクラプトンが去った後に現れるのはバディー・ガイなるおじさんで、いや〜、これまた凄い。

Buddy Guy: Mary Had A Little Lamb


このおじさんの歌はウインウッドより上手い? ギターはクラプトンより上手い? 私にはわかりません。ただ「さっきまでのは何だったの?」と思いました。こういう人の歌(と演奏)を聞くと、60年代の若いミュージシャン達が何に憧れたのか、努力して努力して大ヒットを飛ばし大スターになり、名声や富を得ても、やっぱり手に入れられなかったのは何か、そういうことを思わずにいられません。彼らは凄い。でも彼らが心の底からやりたかったことに対して、この黒人のおじさんは? まるで事も無げに歌を歌いギターを弾くバディー・ガイ。黒人ブルーズの底力。でも、黒人になれなかったからこそ彼らはロックを作り上げたのでした。思えばウインウッドもクラプトンもロックの歴史そのもの。いや〜このDVD、堪能しました。さいこーっ!

このフェスティバルは舞台のデザインも気が利いています。YouTubeではよくわかりませんでしたが、背景の横縞はネオン管を並べたものです。簡素で昼間も夜もきれいで、舞台裏も同様なんですからしゃれています。ついでにディスクをよく見たら、2枚目の写真はウインウッドとクラプトンのメンバーじゃありませんか(傷だらけのギターとペパーミントにミルクを注いだようなきれいな色のギターです)。へーえ……。(イギリスのアマゾンで「Live From Madison Square Garden」とふたつで31.92ポンドでした。)

(winwood) (traffic) (crossroad guitar festival)

2011年6月15日

梅酒づくり



去年Pさんのお宅へ行ったとき、お友達のお土産だという12年物の梅酒をオンザロックでご馳走になりました。下戸だから遠慮したのですが、「おいしいから」とすすめられて一口ふくんでビックリ。「ウマイ」とうなって飲み干しました。私は自分も12年物を作りたい!と思いました。

それで梅酒の季節が訪れると、初めて挑むべく瓶を用意して1キロ入りを2袋買いましたが……ぐずぐずしているうちに梅の実を悪くしてしまいました。

今年も最初の2袋を駄目にしてしまいましたよ。(トホホ。)でも負けずになんとか4キロを仕込みました。梅酒を3キロ分と、梅ジュースに1キロを1瓶。さらに梅ジュースをもう1キロ作る予定です。

梅ジュースとは梅とお砂糖だけで作るものです。作り方が複数あり、一つは梅を冷凍してから砂糖だけでエキスを抽出するもの。もう一つは生の梅と氷砂糖に加えて「醗酵を止めるため」の酢またはホワイトリカーを適宜加えるものです。(他にもいろいろあるかもしれませんが)その両方を試してみます。1週間でできるそうですから楽しみです。

☆     ☆     ☆     ☆     ☆

写真は6月20日に撮りました。なんのかんの3日がかり。左の2つが梅酒、右の2つが梅ジュースです。ジュースの瓶は口まで梅でいっぱいでしたが、お砂糖はどんどん溶けて果汁も出ているようで、もうずいぶん縮みました

去年使おうとした瓶をどこにしまったか判らず、探していると遅くなるから4リットルと8リットルのを買いました。右から2つ目の、梅ジュースの瓶は近所のケーキ屋さんの店先に「ご自由にお持ちください」と出ていたものです。フランスの桜桃のリキュール漬けが入っていたようです。私が通ったときに3つ出ていたので1つ貰いました。この時期に放出してくれるなんて、ありがたいことです。

合計5キロ漬けました。梅1キロにつき費用は1200〜1500円です。5キロ漬けるとけっこうな支出です。失敗はできませんね。

2011年6月13日

トラフィックの1994年


今朝届いたトラフィッックのDVDです。1994年に何度目かの再結成をして全米75ヶ所を回った公演のライブだそうで、各地の演奏を集めてできています。(しかしですね、どうしてしょっぱなから画面いっぱいに星条旗がはためくのか理解に苦しみます。しかも二度。クラプトンの日本公演のDVDを英米でも売り出すときには、まず最初に日の丸ですか……? そこだけが目障りです。)

ウインウッドが70年代末から80年代を通してソロ活動した後の、3度目のトラフィックになるんでしょうか。もうよくわかんないのですが、このときのウインウッドとキャパルディにとっては再結成再々結成というよりも、彼らの音楽活動を貫くライフワークになっていたのかもしれません。お互いに自分のやりたいことをやったらトラフィックに戻ってきて続きをやるような。ここでは60年代の曲は彼らのテーマ曲であり、70年代の曲はスタンダードナンバーであり、さらにそれ以降の新しい曲を加えて、常に新しいコンサートが生まれます。(まるで今のクラプトンはブラインドフェイスでそれをやりたいかのようです。でもウインウッドにとってはやはりトラフィックでしょう。できるものなら。)

舞台前の映像が少し入っていて、楽屋で自分の靴を磨いているウインウッドがカワイイ。そうか、出演前には靴を磨くんですね。自分でね。肝心の演奏はまだ全部聞いていないのですけど……今のところいい感じです。しかしガルシアがゲストのときは会場が屋外で、その夥しい数の観衆にはビーックリしました。

ときにこのDVDは年寄りにはちょっと大変でした。イギリスのamazonで、地域の制限がないこと(all regions)を確認して買ったのに、おまけのディスクがまったく反応しないのです。DVDプレイヤーは真っ黒。両方映らないならともかく、どうして? ア、そうだ、CDと書いてあったっけ。何のことはない、こちらは絵の出るCDで、ファインダーから開けばよいのでした。すると絵が出て、その絵からインターネットにつながる仕組みだったようです。ディスクはCDですが、ネットを介してビデオが見れたのですね。(ただし17年たった現在ではつながりません。インタラクティブであることはカッコよかったり便利だったりしますが、ジャンプ先が終了すれば不完全なディスクになるだけですヨ。それに1994年の通信事情で映像を見るには大変な時間とお金を要したでしょうね!)音楽はプレビュー、QuickTime、iTunes できけました。

おまけのCDには1994年11月にスタジオ録音した 4000 Headmen、John Barleycorn Must Die、Low Sparks Of The High Heeled Boy の3曲が入っています。ウインウッドとキャパルディと二人のアコースティック・バージョンです。ところが John Barleycorn の途中でウインウッドがつかえてしまって、「長いこと歌ってないから入るとこを間違えちゃったよ」とか、ハモりそこねたり、やりとりがあってまた歌い始めるのでした。(映像を見たかったものです。)このときすでにクリス・ウッドは亡く、この10年後にはキャパルディも病死してしまいます。

それでジム・キャパルディが少し気になりました。その続きはまた後日。

2011年6月12日

カエルの歯ブラシ


頭を取るとブラシがあって、出ベソを押すとブラシがピュンと飛び出して歯ブラシになります。(カエルの「出ベソ」ですからね、すごいでしょ?)使用後はおヘソを推しながらブラシを押し込んで、頭をはめます。

携帯用の歯ブラシではブラシの先だけ小さい箱で包む形のが普通ですが、これは大きくていい感じです。握り具合は思ったより悪くありません。。子供用のせいか、歯ブラシはちょっとコシが足りない感じですが、実用には困らないと思います。(私は40年近くバトラーの愛用者なんですけど、面白いのがあれば買うんです。)


他にもいろんな動物があります。どれもカワイイんですが、やはりカエルが一番イイ顔をしています。
石神井公園・パスポート、380円(6月3日)

2011年6月11日

ナオミ・クライン「The Shock Doctrine」



「The Shock Doctrine----The rise of disaster capitalism」
Naomi Klein 著
Picador 刊
2007年(カナダ)
ペーパーバック/$16.00.
(アマゾンで1229円)

ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」です。この本がカナダで出版され世界中で大ベストセラーになって4年目ですが、邦訳が出ないのが不思議です。(出版禁止ですか?)


(追記:2011/6/23)同じナオミ・クラインの「ブランドなんか、いらない」の翻訳を現在刊行している大月書店さんに問い合わせたところ、ご担当者よりすぐに返事をいただきました。それによりますと、「ショック・ドクトリン」の翻訳権は岩波書店さんが取得しており、大月書店さんとしても日本の読者が今読めないのは残念だが何ともしがたいとのことでした。(大月書店さんには折り返し「今すぐ必要なのは実は大著の全訳より、もっと薄くて安くて判りやすい解説本かもしれませんね」と申し上げましたが)そういうわけですから、みんなで岩波書店様に催促いたしましょう。

ショックドクトリンとは、おもに他国に大きな経済政策の転換を強要するとき(要するに新自由主義に組み入れたいとき)、大災害や大事件に乗じてふだんなら絶対に認められないような法律をばたばた通させてしまうことで遂行するやり方です。911のように自国民の自由を制限する場合にも使われます。人々が恐怖におののいて、政府に助けをもとめる状態であることがミソで、人々が平静を取り戻してシマッタと気づいたときにはもう手遅れ、というものです。恐ろしい話ですが、世界中で行われているのです。日本政府が311に乗じてコレをやりたがったのは明らかで、実際にやっています。ただし国民は混乱せず、政府を頼るどころか非難ゴーゴでしたから、華々しい支持を得られないままコソコソやっているのです。(報道されないから国民が知らないだけです。)

私にこの本を全部読むつもりはなく(700ページあるんです、読めるわけがありません)、311の後にあちこちで言ったり書いたりしておきながら本を持っていないのはまずいかしらと、先月になってレファレンス用に買いました。本では労苦を惜しまぬ調査にもとづき過去に各国で起こったケースを詳述していますが、その趣旨はネット上の日本語字幕付きのビデオや日本版番組サイトの記事で理解することができます。誰もが知っておくべき現代の基礎知識だと思います。

それにしても、どうして日本にはナオミ・クラインやジェレミー・スケイヒルのような若くて頭が良くてカッコいいジャーナリストが生まれないんでしょうね。(6月3日)

ショックドクトリン(抜粋版)日本語字幕付 
日本版デモクラシーナウ、2007年9月17日放送



● 詳しくはこちら 「ショックドクトリン」。「大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」、ナオミ・クライン新著を語る(日本版デモクラシー・ナウ)

● ナオミ・クラインが出演した「デモクラシー・ナウ」の日本版の番組一覧はこちら。(いつの間にかこんなに出演していたんですね。私は全部を読んでいません。もっと読みやすいレイアウトにしてください!)

● デモクラシー・ナウ 日本語版公式サイトのホームページ
● Democracy Now! アメリカの公式サイト(全てのインタビューのビデオとトランスクリプションがあります。)


関連書籍
「貧困と不正を生む資本主義を潰せ----企業によるグローバル化の悪を糾弾する人々の記録」(原題 Fences and Windows -- Dispatches from the front lines of the globalization debate)ナオミ・クライン著、松島聖子訳、はまの出版
「ブランドなんか、いらない」(原題 No Logo)ナオミ・クライン著、松島聖子訳、大月書店


応用編をみつけました:
【中野剛志】悪魔のショック・ドクトリン!民主党復興政策に騙されるな
(4月9日放送されたもの)



ついでの話として、「デモクラシー・ナウ」は朝日ニュースター(ケーブルテレビ、スカパー)が日本語字幕付きで放送しています。ただしアメリカでは毎日放送しているのに日本では2.3のトピックをまとめて週1回(再放送あり)、しかもトピックが半年遅れのことも普通にあります。新しい情報を得るには、(日本語字幕はありませんが)アメリカの公式サイトを見るか、ポドキャストに登録すると便利です。

2011年6月10日

おかげ様で!

あんなことを書いてしまうとは、なんて「友達甲斐」のない私。(そういえばロックの話などしたことがありませんでしたね。)皆様のおかげで、晴れて横浜アリーナと武道館に行けます! ああ、もう席なんかどこでもいいす。


田舎で野良仕事をするウインウッド
(公式サイトから拝借)
40年前から農業をやっているって本当ですか?

2011年6月7日

ウインウッドの日本公演ですって!?

ウインウッドの懐メロならよく聞いていますし、このブログの右上(温故知新なのじゃ)にYouTubeをずっと出していたくらいですが、先週に限ってあんなにいっぱい書きたくなったのは虫の知らせでしょうか。

ふだんは見ない夕方のテレビをつけていたらビックリです。今年11月にECが(また)日本公演をやる、SWと一緒だというのです。(2007年以来この二人はセットになってしまったんでしょうか。)とりあえずネットを見てみると、音楽ニュースとしては昨日流れたものでした。

● Yahoo ミュージック/音楽ニュース・6月6日付

日本武道館じゃなァ......音は悪いし、お尻は痛いし、帰りに寄るお店がないし、S席といってもどうせ2階か3階の一番後ろだし……などと思いつつ、夜も更けると気になってウドー音楽事務所のチケット先行予約などのぞいてみました。するとプレミアム会員(有料)のチケットは既に販売終了のもよう。アラララ...... それならヒラ会員で登録して、とりあえず横浜と武道館の座席だけは確保しておこうとして、ふと思うに、私の友達でウインウッドに1万2000円を払う人がいましたっけ? ああ、なんて友達甲斐のない人ばかり。この年さげて一人で行くのは少々イタイんですけど。(紀尾井町ホールの支配人ならクラプトンに対して払うでしょうが……)

そりゃあ凄いコンサートになる可能性は高いでしょう。でももともと私はウインウッド一人でいいんですから、クラプトンが一緒でなければこんなことにはならないのじゃないか?……もっと小さくてもっと音の良い椅子も良いホールを使えるのではないか?......などとブツブツ独りごちるのでした。
(winwood)

2011年6月6日

ロン・ポール「他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ」



「他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ」
(原題 The Revolution: A Manifesto)
ロン・ポール 著
佐藤研一郎 訳
副島隆彦 監訳、解説
成甲書房(2011年3月)
1800円

原書はロン・ポールがアメリカ大統領選の候補者であった2008年に出版した「Manifesto」です。(訂正:正しくは選挙戦の間に書いたものを撤退後に出版したもの。)当時とても興味がありましたが、たぶん買っても読めないだろうと保留にして、未だにアメリカのamazonの買物カゴに入っています。その翻訳が出ました。

(それにしてもこんなに挑発的な邦題にしていいんでしょうか。腰巻き(帯ともいう)には「反・官僚支配、反・重税国家、反・過剰福祉、反・金融統制、M・サンデル教授らと戦う思想」とありますが(はあ、それで私には「熱血教室」の本が面白くなかったのでしょうかネ)、でもロン・ポールは別にサンデルを相手に戦っていないでしょうが......。このあたりの訳者のノリは、さすが副島先生のお弟子というべきか。)

大統領選の「マニフェスト」ですから当時のアメリカ合衆国における問題点と解決案です。(いわゆるリーマンショックの前ですが、サブプライム・ローンの破綻については言及されています。第三章のお金の話は圧巻です。)読んでいて意外だったのは、書いてある内容を私が(ある程度)理解できることでした。それは私がアメリカ社会やアメリカ政治について勉強したからではなく、アメリカから日本に影響の及ぶ事柄がかつてないほど多かったり、自分をとりまく環境を含めて日本の状況がアメリカとかなり似てきたからではないかと思います。そうとうヤバいかもしれません。何しろ問題は未だ何一つ解決していないのです。

「Stop Dreaming」は「A New Hope」と並んでロン・ポールの一番有名なビデオでした。再び埋込みます。過去〜現在の発言、予備選での発言が収められています。(ついでに、民主党予備選でまともなことを言っていたのはオバマではなく Dennis Kucinich。)本書はこのビデオに出てくるような事柄を詳しく述べたたもの、ということです。

ロン・ポール議員の発言集『Stop Dreaming』(日本語字幕埋込版)



さて、ロン・ポールはテキサス州選出の共和党下院議員で、彼の大統領選挙戦は「Who Is Ron Paul?/ロン・ポールって誰?」というキャッチフレーズで始まりました。それくらい全国的な(というか合衆国全体では)知名度が低く、メディアも泡沫候補扱いをしました。しかし予備選の間にぐんぐんと支持を集め、共和党のディベートでは圧倒的な存在感を示し、日本にいる私さえ知ることになりました。残念ながら本選に進むことなく退きましたが、その後は専門の金融問題に関してメディアへの登場が格段に多くなり、「若くて高学歴の浮遊層」を中心に熱烈な支持者を増やし続けて、先月ついに2012年の大統領選に立候補を表明しました。(現在ペイリン、ロムニーより支持が高いとのことです。)

ロン・ポールは、例えばアメリカは戦争をやめ、米軍は世界から撤退するべきと主張し、日本人の質問に答えて日本に対しても自分の国は自分で守れと言います。この人の言うことを知ろうとすると、「保守政治」「小さな政府」「福祉国家」「所得税」その他いろいろな言葉の本当の意味がはっきりしてきて、考え方の修正を迫られる気がします。ロン・ポールの仲間であるピーター・シフは311の大災害に際して「日本は米国債を売って復興にあてるべきだ」とYouTubeでメッセージを公開しました。彼らに近い「ティーパーティー(茶会党)」が日本のニュースに出てくるときには、まるで極端な右翼のような印象を抱かせますが、騙されてはいけません。第一にティーバーティーはいろいろなグループや個人の集まりであって政党ではなく、第二に「保守派」であり「頑固な憲法主義者」なのであって、憲法軽視もはなはだしいネオコン右翼とは全く思想が異なるからです。

バラク・オバマは黒人だという理由で暗殺を心配されたものですが、ロン・ポールは実際に FED、IRS、軍産複合体などに対して物凄いことを言ってきましたから何倍も心配です。(あれだけ言って殺されないのは裏でつながっているからだ、という人もいましたが。)日本のテレビが彼をとりあげることはとうぶんないでしょうから、ぜひネット上の演説を聞いたり(字幕付きもあります)本を読んだりして、その考え方に触れてほしいと思います。そして殺されないように、皆で見守りましょう。
(追記:2011/7/29)
ロン・ポールの前回の選挙戦がどういうものであったか、感動的なドキュメンタリーがありましたのでリンクを貼ります。(2時間近いもので日本語字幕がないのですが、多くの人に見てほしいと思います。涙なしには見られません。当時は私も途中から同時進行で追っていましたから、ああそうだったなあ......などと思い出してしまいます。)

● FOR LIBERTY: How Ron Paul Revolution Watered The Withered Tree Of Liberty(自由をもとめて:ロン・ポールの革命がいかに自由という枯木に水を与えたか)


あらためて思うのですが............アメリカ合衆国は(偽)ユダヤ人にのっとられて、(偽)ユダヤ人の(偽)ユダヤ人による(偽)ユダヤ人のための政治がずっとおこなわれてきた結果、国も民もボロボロになったということなんですよね、実は。その国家存亡の瀬戸際に「こんなのは間違っている、合衆国憲法にてらして考えよう、建国の父たちの声をきこう」と大正論で訴えるロン・ポールが現れたからみんなビックリしたのです。さらに驚くのは、自身が大統領選を退いた後は「第三政党に投票しましょう」と、ラルフ・ネイダーなど二大政党以外のリバタリアンの候補者達がメディアの前で演説する場を作りさえしました。共和党のディベートは今見ても大傑作で、そこで目を覚ましてしまった人達は彼が大統領選を退いても終わりにすることなどできず、彼の提唱する「自由への戦い (campaign for liberty)」を続け、一つはティーパーティーへの流れを生み、大成功を遂げたわけです。ロン・ポールの大統領選は他の候補者と異なり、たった一人で国中に大きな覚醒と運動をもたらしました。広告代理店など使わない本当の草の根だけで。こんな選挙は世界中でも他にありえないでしょう。(そういう動きを一切報じない日本という国は......のっとられているんでしょうネ。)


● デイリー・ポール
もしかしたらロン・ポールの公式サイトよりも有名な老舗のファン・サイト。2008年の大統領選でロン・ポールを知った一市民のMichael Nystromが始めたサイト。ロン・ポールの毎日の最新情報が載っており、議論も盛んです。(現在はサイトにアクセスを載せていませんが、調べてみたら毎日2万〜3万近いアクセスがあるようです。)

● ロン・ポール・ドットコム
こちらも公式サイトよりも有名かもしれないファン・サイト。「デイリー・ポール」と同じく、70才を過ぎたテキサスの下院議員の毎日の動向を追い、支持者間で議論しているサイトに世界中から毎日数千〜1万以上のアクセスがあるとは、どういうことでしょう? 勿論ほとんどは合衆国内ですが、15%が先進国を中心に、ヨーロッパ、日本、ロシア、中国、中東……海外からで、累計207ヶ国からのアクセスが記録されています。とりもなおさず世界中がアメリカから何らかの影響を受けており、たいていの国の人達は「何とかならないか」「もっと良くならないか」という思いがあって、ロン・ポールに関心を抱くのではないでしょうか。(大統領選に出ることを発表した日には1日で7万アクセスを超えたそうです。ファン・サイトで、ですよ。)

このブログでの関連記事
● すごいアメリカ人(ロン・ポール……2008年12月14日付
● ロン・ポールの続き......2009年1月4日付

(ron paul) (ron paul 2008) (ron paul 2012)

2011年6月4日

「なぞなぞケロロン」のDVD


「なぞなぞケロロン」は前にNHK(3チャンネル)がお子様時間に放送していた番組です。カエルのケロロンが出すヒントで動物を当てるクイズです。

このところ2008年に書いた「なぞなぞケロロン」の記事へのアクセスが多く、世の中でも人気があるのかしらと思いました。それでまずNHKのサイトを見てみたら、再放送の予定があるそうですがいつからかは書いてありません。しかしDVDが出ていることを知りました。とりあえずamazonを見てみると4種類があり、いずれも「残り1部」であったため、エーイ(皆様ごめんなさい!)と4つとも買いました。そのうち3枚が今朝届きました。

「僕はスター!?」
「僕は無敵の戦艦!?」
「サンタクロースだよ!?」

もう一つ「きれいなお姫さまよ!?」は別送で、週明けにも届くでしょう。(実は午後に届いていたようです。)

今晩はちょうど近所の元同級生Hくん宅へ遊びにいく日でしたので、持っていきました。私はパソコンの画面を皆で覗けばいいと思っていましたが、なんとプロジェクターで壁に写してくれたので、大画面のケロロンを楽しむことができました。(映画好きなのでそういう道具をお持ちなのです。)中年過ぎの男女と後期高齢者、合わせて7人がいましたが、ケロロンを知っているのは私と、一緒に行った家族の二人だけ。でも番組が始まると、皆けっこう面白がって見てくれました。フランス人が作ったということで、ふだん目にするもの(アメリカ的なもの)と少し感覚が違うせいかもしれません。

いずれも、
時間: 本編約39分(特典映像付き)
制作: 2006年、フランス
言語: 英語、日本語
発売販売: メディアファクトリー
価格: 2940円

率直なところ、この値段は高いと思います。でも色がきれいで展開が奇抜でウイットもあり、子供も大人も楽しめるので、たくさんの人と見る機会があればマイッカ、という感じです。(英語版で英語の勉強もできるとのことですし。)

2011年6月3日

スティーブ・ウインウッド 2



● Steve Winwood: Spanish Dancer

これを作ってYouTubeに投稿した人には感心します。モニター画面で音楽鑑賞するのは、これまた乙なものでございますね!


YouTubeをたくさん見ているとき、芋づる式にこの動画に行きあたりました。

Grestst guitar solo ever
というのが投稿者の付けたタイトルですが、ジョージ・ハリソンのトリビュート・コンサート(2004年)だそうで、While My Guitar Gently Weeps の演奏です。



いやはや凄いものですね。プリンスのギターはどこへ消えてしまったんでしょうね。でも私は途中から後ろでキーボードを弾いているのがウインウッドではないかと気になりました。それで同じステージのもっと写りのよい動画がないかと探すと、そちらには最初からクレジットにSteve Winwoodの名前がありました。見落とさなかった私はエライと感心しましたが、後から見れば誰でもわかりそうなものでした。(尚ここにはジョージ・ハリソンの息子のDhaniが出演していて、多くの人がその生き写しの姿に釘付け状態でしたが、その話は別項で。)

それで、6月2日付の「帰っていたスティーブ・ウインウッド」で埋込んだ Talking Back To The Night の中にあったスナップショット(2:12 〜)が、このコンサートの時のものだとわかりました。( ボーカルをやった Tom Petty、Jeff Lynne と。)それでウインウッドが珍しくペンダントをしているのですが……



あれ? もしかして……? あ、あ、大きくしてみたら、やっぱりトラッフィクのマークでした。ねじれて裏返っていますけど。
トラフィックのマークの正式名称は知りませんが、トラフィックのレコードに必ずついていたマークです。件のビデオの中にもいろいろ出てきました。左はレコードのジャケのデザインとして。写真左下の隅にはドラムに描いています。右はステージの飾り? コンサートのチケットにもありました。


昔は洗濯をするたびに、洗濯機の中で水流がこの形になるのをじーっと眺めていたものです。(2年後の5月10日の注:1970年代ですから全自動洗濯機などない時代です。洗濯中に蓋はふつう開けたままで、洗濯物は丸みをおびた四角い洗濯槽の中をぐるぐる回っていました。)これはケルトのマークだと話すのを、60年代のローリングストーンの記事をまとめた本で読みました。私が「ケルト」という言葉を知った最初でした。でも後にケルトについて調べるようになって知ったことには、ケルトにとって「3」が大事な数であり、3本足などに代表される意匠をとくに「トリスケリオン triskelion」と呼びます。ですからこのマークも本来なら3つに分かれた形であるはずです。でもメンバーが4人だったから「4」の形になったのかしらと想像します。それで、何が言いたいかというと、

このペンダントが欲しい!



1967年、スペンサー・デイビス・グループがフィンランドのテレビに出演したとき、出番を待つ時間の会話が残っています。こういうのを「お宝映像」というのでしょう。皆さんもうもうと喫煙しているのに、今では少なからず驚きます。時代ですね。(日本も30年前はこうでしたけど。)テレビのスタッフに「好きなミュージシャンは?」ときかれてお喋りしているところ。全英ヒットを次々飛ばしている「スター」とは思えない、普通のきれいで物静かな人なんですね。(ちょっと退屈しているのかもしれませんけどね。)フィンランド人が黒人歌手のことをしきりと「negro singer」と言うのも時代を感じます。

Spencer Davis Group, Finland (1967)




その頃のスティービー・ウインウッドがどんな「歌手」であったかというと、なんと映画がありました。

The Spencer Davis Group: Nobody Loves You When You're Down And OUt (1966)



レコードには収録されているカバー曲の一つで、本家をしのぐ本家取り。起きぬけにパジャマ姿で歌う歌とも思えませんが(寝かせてもらえず、起こされて歌ったのかもしれませんが)、1966年制作の「The Ghost GoesTo Gear」という映画の1シーンです。映画だからしっかりメイキャップしています。うますぎのピアノを弾く手が若い! ビートルズの映画が大当たりした後に、人気バンドの映画が次々と作られた中の一つだそうです。(日本でもタイガースの「世界はボクらを待っている」など。)そういう若いファン向けの娯楽映画でしょうから、それなりに軽く考えないとネ。おかげで映像が残っているのですから文句はありません。

この映画は2000年にVHSとDVDで発売されて、イギリスやアメリカに今も少し残っていました。その頃は日本でもCDのスペンサー・デイビス・グループの復刻盤がたくさん出ていたようです。

Steve Winwood as of 2008



還暦を迎えて枯れた声がまたいいっ。(I'm Not Drowing はCDよりこっちのほうがいいと思います。)70年頃の南部の黒人のお爺さんがポーチでブルーズを歌っているみたいな、そういうお爺さんになるのかもしれません。2008年。田舎のコテージのスタジオ。どっかに窓がありましたが、騒音なんかないんでしょう。ここで「セレブなシェフ」がいろんな風味ををバランスよく取り入れて一つのお料理を作りあげるように、いろんなジャンルの音楽を取り入れながら曲を作っているのだそうです。室内のファブリックも素敵でした。2009年のマジソン・スクエア・ガーデンのライブを楽しみしていると話します。(私もDVDの届くのが楽しみです。)そういうわけで、スティーブ・ウインウッドは(いつだったのかはわかりませんが)正しいときに正しい場所へちゃんと帰っていたのでした。迂闊にも何年も知らずにいましたが、残念とは思いません。これから聞けばいいんですから。2008年の「Nine Lives」から、おそるおそる遡ってみようと思います。


(追記:2011年6月7日)
ふだんは見ない夕方のテレビからビックリ・ニュースです。11月に北海道をかわきりに来日公演をやるそうです。東京は武道館だそうです。(クラプトンとセットでなければ音の良い小さい所でできたでしょうか?)

2011年6月2日

帰っていたスティーブ・ウインウッド

Steve Winwood: Talking Back To The Night (1987)

なつかしい写真がいっぱい。じーんときます。



「個人教授」というフランス映画が女の子の間で流行っていました。19才の男の子が年上の美しい既婚婦人に憧れてしまう悲しい恋のお話です。映画の広告はそこらじゅうにあって、主役のルノー・ベルレーがスティービー・ウインウッドにそっくりだと(音楽雑誌の中で)話題になりました。写真を比べると本当に似ていました。年も同じくらいで。だいぶ後で映画を見たら、どこから見てもよく似ていて、物語とウインウッドがこんがらがって困りました。ルノー・ベルレーがハンサムだといわれているから、ウインウッドもハンサムなのだと思いました。

私は中学生で「ミュージックライフ」の熱心な読者で、ウインウッドの記事も毎号読み写真を見ました。でも私の知る限り当時テレビやラジオでトラフィックの曲がかかったことはなく、初めて聞いたのは友達が貸してくれた出たばかりの「Blind Faith」でした。その頃はクリームがカッコよかったからエリック・クラプトンのバンドとして聞きましたが、いい曲ばかりだと思いました。翌年くらいにテレビの「ナウ・タイム」というアメリカのサブカルチャー番組で Hole In My Shoe を聞き、素敵だーと思いました。初めての自分のレコードは1972年で「Paper Sun」です。これは憧れの岡井さんが四人囃子として(たぶん初めて)ステージに立つというので今はなき銀座のヤマハホールに聞きに行ったとき、帰りに貰いました。何故か出口で大きな段ボール箱からお客の一人一人にシングル・レコードをお土産に配っていて、私が貰ったのがトラフィックだったというわけです。(B面は No Name, No Face, No Number。)(たぶん在庫処分で、一緒に行った友達が貰ったのは演歌でした。)そんなぐあいに、いちいちいろんなことを思い出します。

ほんとに好きになったのはそれからで、遅ればせながら1974年からトラフィック、スペンサー・デイビス・グループ、いろいろなセッションのアルバムを集めました。かなり努力して30枚くらいです。

Traffic: Paper Sun (1967)



これがプロモーション・フィルムとはス・ゴ・イ・デ・ス・ネ!(今よりずっと自由ですね。)こういう風変わりなことはジム・キャパルディの趣味でしょうか? 一応みんなで「ペイパサーン......」と口パクしているのに、勝手に何かを取り出して見てますが。70年代にキャパルディは言いました--「キース・エマーソンなんかスティービーの靴の紐も結べないさ。」たしかにキース・エマーソンなんて消えてしまいましたね。そのキャパルディもすでに故人。いつもスカーフをしていたお洒落でキュートなクリス・ウッドも、ほんとに若くして故人となりました。さっさと飛び出たデイブ・メイスンはその後どうしたものやら。

スティービー・ウインウッドの音楽や才能の話などしませんよ。(「太陽をろうそくて照らす」なんてことは。)私はこの人の声も演奏も曲も顔も好きで、さらに清潔感が好きです。この人には清潔感があるんです。男の子っぽくて、「女の子なんか知らないよ」とばかり男の子の仲間どうしで元気いっぱいに駆け回って、ふざけたり遊んだりしているような雰囲気が好きでした。上手く言えないので敢えて逆から言うと、彼の音楽には汚いものを感じないということです。声も顔も、私は彼を「きれい」だと感じ、それは彼が大人になっても変わらなかったと思います。(「きれい」だから好きなのではなく、「きれい」だから生まれる音楽があるのではないかと。ウインウッドの良さには技術とか才能とか努力とか以外にそういう要素があるのじゃないか、そこが胸とか心とか頭に響くのではないかと思えるわけです。妄想ですけどね、妄想。)

私はどーもエリック・クラプトンが苦手です。「レイラ」からだめです。クリームやブラインド・フェイスはカッコよかったし、「オーシャン・ブールバード」のコンサートにも行きましたが。そもそもあまりに大きくなりすぎて、音楽の外でも通用する大スターになってしまうと(音楽以外の話題でCNNなんかに取り上げられる状態)、なんだか人間が濁るような気がします。あるいは濁らされた結果セレブ的大スターになるのかもしれませんが。そして音楽が濁る。紀尾井町ホール支配人が絶賛するからCDを買いましたが、一度聞いたらもう沢山。(もちろん偏見ですけどね、偏見。)

その点ウインウッドは幸いセレブの要件を満たしていないのではないか、そしてある種不器用ではないかと。たとえばドラマ仕立てのビデオクリップで何か演技するとか歌って踊るということが出来ない人だと思います。そんなこと、彼にはする気がないしする必要もないし。(「マジカル・ミステリー・ツアー」の中にいたといいますけどね。)MTVの時代になって艶っぽい挑発的な映像のプロモーションビデオが増えていっても、彼の書く歌にそういう映像は似合わないし、彼にも似合わない。しぜんと清潔なんですよね。連日パーティーのはしごをする時間があれば家でギターを弾いているのではないか----事実がどうであれ、そう感じらることがいいんです。そもそも15才から45年以上プロの世界の第一線にいて、お金、女、薬物、その他のスキャンダルが全くないのは驚くべきことです。(お兄ちゃんのマフがバンド活動を離れた後にレコード会社を設立して音楽業界の重鎮にもなったから、他の人達にくらべて業界の魔物から守られてきたのかもしれません。)私が知らないだけですか?

そのアイランド・レコードがいい会社で……。昔の話ですが、1977年か前の年、ウインウッドが初めてのソロ・アルバムを出すと知ったとき、「日本の音楽雑誌なんかろくに情報がないし、私は全然信用していないんだ、新しいアルバムが出るそうだけど何か教えてください」とアイランドにお手紙を書きました。そしたら、しば〜〜らくして、発売日の直前にエアメイルでLPが届いたんですよ! あの色鉛筆の絵の「Steve Winwood」です。信じられますか??? いい時代でした……。

でもその次の Arc Of The Diver が私の最後のウインウッドになりました。ほんの少しの曲以外、もう夢中になれませんでした。その後MTVで「バレリ〜♪」と歌うのを見たことがありますが、ちょっと勘弁してよと思いました。ウインウッドは大好きだけど、新しいのはもういいと。

Steve Winwood: Night Train (1980)

Arc Of The Diver のアルバムで好きだった Night Train 。ドラム以外全部一人。画質も音も悪いので小さく埋め込みました。



そういうわけでこんなにカッコイイ曲を知りませんでした。こうでなくちゃ!と思います。出だしの2拍が「Paper Sun」にそっくりです。(映像が悪趣味なので小さく埋込みました。)

Steve Winwood; Roll With It (1988)



でも YouTube を見ていくうちにびっくりですよ。私が知らない80年代のウインウッドは、先ほど書き並べた私の思い込みを悉く打ち砕いていたのです。実にMTVの流儀に沿った変容をとげていました。(リンクを付けましたが見てほしいわけではありません。)

ある日突然ギターを置いてハンドマイク! 楽器を持たずに歌う姿を初めて見ました! Finer Thing (1987)
さらにマイクも置いて踊りだすじゃありませんか! そして明らかに音楽とは不釣り合いな、胸を押さえていないと落こってしまいそうな服のお姉さんがクネクネしたり、おなかを出したお姉さん達が髪をふり乱して踊り始めます。Higher Love (1986)
それからとうとう歌うのをやめて歌の雰囲気づくりをします。一人うらぶれて町を歩く男の場面と、(モデルか本当のガールフレンドかわかりませんが)男が恋人と一緒で幸せだった場面を演じます。Back In The High Life Again (1986)
しかも時代は後になりますが、YuTubeには新しいアルバムの発売についてウインウッドにインタビューしたCBSのニュースまでありました。

……あああ、ちょっとそれは違うでしょうと2011年に言っても、それが1980年代というものでした。そして驚いたのは、Wikiでディスコグラフィーを調べると、ちょうどそういうことをやっていた(と思われる)1986年から1990年まで、シングルが毎年全米第1位です。イギリスやドイツでは30位や50位でも。たとえば1988年の Holding On はビルボードの全米アダルト・コンテンポラリー・チャートで1位、メインストリーム・ロック・チャートで2位。でもアメリカ以外(イギリス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、カナダ)では100位圏外という落差はいったい何なんでしょう。明らかにアメリカ市場に的を絞った戦略の結果ですよね? だから……犯罪をにおわす導入部、娼婦のようなけばけばしい女達、貧しい黒人街の人々、何十年か前のモノクロの……そこを通り過ぎる真っ白なスーツを着た白人男のウインウッド。頻繁に目を射る不快なフラッシュ……なのです。なんとまあウインウッドの音楽に対してお祖末な。だいたいビデオ用の大根役者の群れがウインウッドの音楽をもり立てることができるんですか? (音を消して見れば、どのビデオもどれほど下品で disgusting な映像か誰でもわかりますよ。)こういうのはみんなたちの悪い大衆操作の記号でしょ? ともかく性や暴力や犯罪をちらつかせればアメリカでは売れるということなのでしょう。(アメリカ人の潜在意識は既にそうとうやられていたんですね。)アメリカのミュージシャンよりはましでしょうが、でもああいう醜悪な映像で音楽を汚してほしくありませんでした。

そしてバージンに移籍してからのビデオはセピア色で、さびれた町や廃屋、40年代50年代など過去を連想させる物もの、荒廃して陰気で、そんなのばっかりですか? でもこれ以上見たくないのでおしまい。知らなくていいし、どうでもいいし。

思い出すまでもなく、ウインウッドは最初から時代の音楽を表現してきました。80年代には80年代の音楽を作ったまででしょう。とってもポップなトラフィック、さらにロックなブラインド・フェイスへと展開していったとき、コアなSDGのファンは残念だったに違いありませんから、私が80年代の彼を残念に思っても不思議はないのです。(80年代が一番好きという人ももちろんいるわけですし。)でもその次には、やはり原点に戻るものですね!(これを書き終わったらゆっくり2008年の「Nine Lives」を聞こうと思います。レーベルはコロムビアです。)

クラプトンとウインウッドのコンサートの映像がありました。2007年の「クロスロード・ギター・フェスティバル」というののライブです。クラプトンはいつの間に顎が縮んで爬虫類のユダヤ人のような顔になってしまいました。老け方もウインウッドのほうがいいと思います。とまれ二人が並べばやっぱり凄いから最後に一発。

Steve Winwood, Eric Clapton: Had to Cry Today (2007)



ウインウッドは骨の髄までミュージシャンですねっ! すごーいっ! 演歌でもポップスでも若いときの歌を歌う人は楽なように変えてしまうのが普通ですが、この人は1969年の Blind Faith のときとまったく同じじゃありませんか。ただの1つの音も変えないって……すごすぎ。(だからもう Sea Of Joy を歌わないのかもしれません。残念ですが。)それで、え、なに、二人が同時に弾いている!! すごすぎすぎ……。そして今になれば、Presence Of The Lord (クラプトン作)よりも Had To Cry Today や Can't Find My Way Home (ウインウッド作)のほうが聞きごたえがあるし舞台映えしますね。なんちゃって。最後のハグは……クラプトンはほんとうにスティービーが好きなんだね。

2007年の時点で60年代のスター達は現役としてこれだけのことをする。かつての人気バンドのチャラい再結成やリバイバルがしばしばありますが、60年代の大スター達ほど肝のすわったミュージシャンが後の時代にどれだけいますか? ポップスとは、60年代の人達に始まり、そのまま終わるんでしょうかネ。



「クロスロード・フェスティバル2007」のDVDはアメリカやイギリスのamazonで入手可能ですが、アメリカ盤は2枚組で8時間あり、ウインウッドとのセッションはその一部(39曲中の5曲)に過ぎず、何より地域がアメリカ/カナダ限定です。(TPPに入ったらこの壁はなくなるのですね♡ なんて、その手には乗らないぞ。)そしてその5曲はYouTubeで流れているのですが。しかしアーティストへの敬意として、喜びの対価は支払うべきだと思います。

というわけで夜更けにイギリスのamazonに行って、マーケットプレイスの安い新品を買いました。
ついでに評判のよい2009年の「マジソン・スクエア・ガーデン」も買いました。ブルーレイのほうが音も絵も格段によいという日本盤のレビューがありましたが、うちにはブルーレイの機械がないのでDVDです。
ついでに、なんとスペンサー・デイビス・グループのDVDも残部僅少で出ていたので買いました。当然です!
ついでに……(30年ぶりなのだから、あと4枚くらい、いいでしょう?)

昨日は本を沢山買ってしまったのに、困ったことです。とうぶんおやつを我慢します。


(追記:6月7日) 
本日のビックリ・ニュースです。2011年11月にクラプトンと来日公演をやるそうです。東京は武道館だそうでナニです。せめて2011年11月11日だったらよかったのにね!

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