お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2008年8月3日

あの大日如来像とフランスのお皿


特別公開・8月3日まで。‥‥‥‥アレヨアレヨと今日が最終日。とですから上野の博物館に「あの大日如来像」を見に行きました。本館を入ってすぐ右の部屋で六波羅蜜多寺の鎌倉仏を展示していて、その次の部屋にありました。

ニューヨークのオークションで日本の宗教団体が13億円で落札し、今では所有者の名を冠して「如真大日如来像」という名前でした。あれだけ話題になったし、最終日でさぞや混んでいるだろうと思いきや、博物館は賑わっていたもののそこだけ特別ということはありませんでした。そのためガラスケースの中の仏像をゆっくり眺めることができました。

クリスティーズのサイトやテレビのニュースで見た写真は金色に輝いていましたが、そこでは埃の色をしていて、金色に見える所はずっとわずかでした。照明を落としているからかもしれません。小さいとは聞いていましたが、本当に思ったより小さくて、本当にきれいな如来像でした。微塵の狂いもない完璧な姿、真にうつくしく、静謐の中にありました。少し見下ろす角度になりますが、横顔にとくに見とれました。


栃木のお寺の、そっくりだといわれた運慶仏も並べて展示してありました。こちらはさらに小さく、金がよく残っていました。本当に似ていていて、私にわかる違いは肩に金属の飾り?髪?が垂れている所だけでした。では試作品か?というと、本来はさらに隣に展示してある立派なお逗子に納められているようで、その飾りの見事さを見たら、とても試作品とは思えません。大日如来の図録が販売されていたようですが、帰りに立ち読みするのを忘れてしまいました。

大日如来像を見るだけなら「常設展」の切符でよいのですが、せっかく来たのだし、駅で「フランスが夢見た日本」という19世紀フランスの食器(お皿)の展覧会の切符を買いました。(特別展の切符を買うと常設展も見られます。)しかしこちらの展覧会はずっこけました。友達を誘わなくてよかったと思いました。

19世紀にフランスの高給食器メーカーが日本の浮世絵に憧れて、北斎などの絵をパクッて描いた、というお皿の展覧会です。それなりに目新しい品物を出してきたこと、一部の展示ではどのお皿が誰のどの浮世絵のどこをパクッたかを具体的に図版で示した点、その二つが取り柄でしょう。しかしお皿じたいモノとして大したことがないのが致命的です。どう言えばいいのか、確かによく真似て描いていますが、ただそれだけのことにしか見えないのです。伊万里を見たマイセンやヘレンドの消化と洗練とはなんという違い。そして浮世絵への憧れをどう消化するかという意味ではゴッホやロートレックは、なるほど天才だったなあと妙に納得した次第です。そりゃあ2、3面白いと思うお皿がありましたよ。(背びれを水面に出した鯉が、水中柄ジロリとこちらを見ている絵、あと大根とネズミの絵です。)でも、ずれにしてもこれらはフランスにとってお宝でも、日本人が見てもしょうがないというか‥‥‥‥。

しかも展示数が少ない。こんなのはデパートでやってほしいと思いました。おまけにピンク色展示ケースは不定形で、やたらに大きくて、展示室を狭くするだけです。こんな物にお金を使わず入場料を安くしたらどうですか? しかも一歩入ったドームの真下が売店で、とにかく狭くてゴチャゴチャkして気持ちが悪くなります。表慶館は改装前までは常設展の建物で、切符のモギリも売店もなく、建物の美しさを味わいながらゆっくり展示を鑑賞できる場所でしたが‥‥‥‥ひどいものです。そうそう、それから入口には呼び込みがいて、大声あげてましたっけ。ひどすぎます。

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