運慶の大日如来坐像が
日本人コレクター所蔵の運慶作「大日如来坐像」がオークションに出品される、という短いニュースを見ました。文化庁には「国で買ってほしい」という嘆願書が1万2000集まったといいますが乗り気ではなく、この国では道路の敷き石にもならない木の塊なんかに血税は使えません、ということですかネ、とか言いたくなりますね。
少なからず気になってネット検索してみました。「皇居・大手町・丸の内ぶらぶら日記」というブログの2月21日の記述に、なんと銀座のクリスティーズで展示されているのを見てきたという話が載っていました。え‥‥‥‥ということは、「日本人コレクター」って、アメリカ在住日本人コレクターではなくて、日本にいる日本人?!?! 別のブログ「憂国広場Ace」によれば、3月18日にニューヨークのクリスティーズに出品されるとのこと、この手の文化財は海外のほうが高い値がつくからだそうです。
運慶は鎌倉時代随一の仏師で、その作品は日本のあちこちのお寺や美術館にあり、国宝や重要文化財ばかりです。そもそもそういう文化財の指定とは、明治期に財政難の神社仏閣から多くの貴重な文化財が海外に流れてしまったことの反省から、「勝手に売るなよ」というのが趣旨ですが、この「大日如来坐像」に限ってその指定がなかったのです。ですから売り手は海外でも売れるというわけです。
何年か前の話で記憶が朧ろですが、かつてベルサイユ宮殿でルイ*世が使ったという「机」(ロココの真髄、物凄いライティングデスク)が競りに出ました。フランス政府は元あった王様の部屋に戻したいと、円にして数千万を見込んでオークションに臨んだのです。しかしどんどん競り上がり、1億円を超えたところで「もうダメ」と退かざるをえませんでした。断腸の思いだったでしょうね。誰よりも自分達が所有して然るべき「机」なのですから。それでも競りは続き、「絶対に買うのだという強い意志」を持っているように思われたというライバルがついに落札したとき、その額は2億円だったといいます。ベルサイユ側はさらに力が抜けたでしょう。しかしそのとき落札者から連絡が入ったのですね、「机」を寄付したいと。最初からそのつもりだったそうです。一個人ですよ。ひゃー、カッコイイ! 素晴らしい話でした。
格差ニッポンといっても、いまどきの成金は億ションだの自家用ジェットだの世界の一流品だの、本当に貧乏くさいと思います。お金を持っているなら代理人に4億持たせて乗り込まなくちゃ。そして競り落として、元々持っていたお寺か博物館に寄付しなきゃ。そういうお買い物をしてほしいんですけど。円高なんだし。
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