お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2013年5月5日

zazzle 長者

(ほかのブログで5月3日に書いた話を転載します。)


ごくたまにzazzleのブログなどを読むと、必ずいるんですよ、zazzleで食べている人が。zazzleで収入を得られるようになったから仕事を辞めたとか。今日もいました。

the BeezKneezという名前のお店を出している人で、独学でグラフィックデザインを勉強し、zazzleで成功したそうです。「毎朝起きて5つ6つ『売れました』というメールが入っているのは気分がいい」とかのたまっています。

そのお店を見てみますと、まず広告代理店が入っているのじゃないかと思えるような華やかな作りに驚きます。商品は確かにどれもソツなく上手にまとまっていますが、商業的というのか、わざわざこれを買う理由があるのか?と私などは思ってしまいます。でもそれこそが「売れる理由」なんだろうなあ......と思い直したり。ちなみに昨日見た時点での一日の訪問者は730人あまり、累計64万人。はあ......大したものです。ただこの人は商品を自分自身でデザインしているらしいので、そこは偉いと思いました。著作権の切れたレトロなイラストや世界の名画を集めてきて売っている人も多いからです。それも zazzle の活用法なのですが、そういうのが品物として魅力的なのはあたりまえですから、うーん、なんかちょっとずるいと思わないでもありません。

その人のブログがリンクしてあったので見てみますと(あら、URLが日本ですよ、日本で見てるから?)、

アメリカの本物のセレブが集まるアースデイのパーティーのお土産に、この人の品物が使われたそうです。しかしzazzleだけで生活できるって、いったいどれだけ売れるんでしょう。

zazzleで物を作って売る時、ロイヤリティを自分で設定できます。普通は商品価格の10から20%のようです。(99%まで設定が可能ですが、値段が高くてかえって売れないでしょう。)基準となる値段に10%を超えるロイヤリティがあればそれを上乗せして売値とし、売れたときにはロイヤリティの分が作った人の収益になります。(自分で買うときにはその分が引かれます。)

たとえばマグカップの基準の値段が1個15ドルとしましょう。ロイヤリティを10%とすると、10%のロイヤリティはもともと含まれていますから、15ドルで売ることになり、売れたときの収益は1ドル15セント。円安になった今でも100円そこそこです。それでもし月に10万円を得ようとしたら、マグカップを1000個売らなきゃならないことになります。町の賑やかな雑貨屋さんだって毎月1000個のマグカップが売れるでしょうか? 30ドルのTシャツだって同じようなものです。

しかもzazzleはしょっちゅう割引をするので、買うにはよいのですが、売るにはそのたびに受け取り分が2割、4割、5割と減ってしまいます。それでも高収入を得られるのは、1件で100個200個の注文がボカボカ入るんでしょうか? よくわかりません。

それぐらい売れるなら直接メーカーと組んでデザインしたほうが利益率(ロイヤリティ)が高いのじゃないかと思いますが、それくらいの人になると逆にネットの力こそ有効なのかもしれません。メーカーの販路の及ばない僻地でも海外でもネットは浸透しています。またzazzleでは買い手が商品に家族の写真を入れたり自分のイニシャルを加えたり好きにアレンジできるのが売りですから、それができる製品への需要が、実はものすごくあるのかもしれません。

現にzazzleには世界を席巻する既存の大メーカーがいくつも zazzle に参入しています。ホールマーク、ディズニー(「でずにー」と打つと変換しないのだわ)、あるいはハリー・ポッター、スーパーマン、サウスパークといった超メジャーの映画やアニメのキャラクター・ブランドとでもいうべきものなど。彼らでさえ買い手に商品をアレンジさせて売ることに食指をのばしているのです。

「zazzle長者か、いいなあ」と思います。私には(よくも悪くも)ああいう物は作れません。でも私にとってのzazzleの魅力は、これまでは桁外れの値段の特注品か、メーカーの大量生産でしかありえなかったマグカップや封筒が、デザイン学校を出てプロにならなくても、自分で好きに作って、たった一つでも形になって、とりあえずは普通の値段で手に入るようになったことです。さらに他の人にも見てもらえる(かもしれない)喜びです。雑でデタラメな仕事っぷりには本当に辟易しますが、それでもなお自分で作る楽しみには代えられず、愛憎いりまじった気持ちです。でもそんなレベルで喜んだり怒ったりしているようでは、たぶん長者にはなれないんだろうなあ...... 日本ではまだまだ出遅れているこのビジネスを日本にいてどう活用しようか、私なりに試行錯誤を続けることにします。

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