1月21日、4位だったロン・ポール
● サウスカロライナ州の最終結果発表(CBS News)
びっくりですね。サウスカロライナ州で、メディアの「予想」どおりギングリッチが1位とは。そしてロムニーは2位、サントラムは3位、なんとロン・ポールは4位(ビリ)。「サウスカロライナで勝たないで大統領になった人はいない」みたいなジンクスがあるそうで、ここでの勝利は象徴的に大事らしいのですが。
1月3日に予備選が始まってからバックマン、ハンツマン、ペリーが戦線離脱しました。予備選のこの早い段階で3人も離脱してしまったのはロン・ポールには痛手でした。多くの候補者がいれば票はバラけてポールは上位にのぼる可能性がありますが、これじゃロン・ポールは危機の崖っぷちじゃありませんか。そのせいか、この結果を受けたロン・ポールの演説は少し悲しげな表情で始まりました。
● Watch Ron Paul's Speech After South Carolina Primary
万が一(というのも変ですが)、もし不正がなかったとしても、「ポール対その他」の戦線では離脱した候補の支持者の票はロン・ポール以外に移動するのですから、残った人の票が増えポールの票は相対的に減ってしまいます。ポールに投票するために新たに共和党に登録する人が大量に現れないかぎり巻き返せません。しかもこの予備選に参加するにはその州の予備選の3週間前までに有権者登録しなければならないそうで、ぐずぐずしていたり投票日直前にテレビでディベートを見て投票したくなっても間に合わないのです。なかなか厄介です。
11月の本選は民主党候補(現職大統領)と共和党の指名を受けた候補1名との一騎打ちですから、ポールを大統領にするには、ポールを本選に出さなければならず、そのためには予備選で勝たせなければなりません。しかも「選挙人の獲得」という日本にはなじみのない要素があります。最終的な勝利を決めるのは「delegates(党大会に出席する代表?)」の数だというのですから、日本人にはわけがわかりません。
CNNの解説を見ていると、サウスカロライナは「オバマに勝てる人」を選んだとのことで、50パーセントがギングリッチを「勝てる人」だと見ていたというチャートを見せるのでした。しかしそれは「オバマと争点が少ない」という意味じゃないかと思ってしまいます。
ロン・ポールには元気に予備選を続けてほしいと思います。各地でどれだけの支持者があるか、実際の数字をジャンジャン見せつけてほしいものです。もし大統領に選ばれなくても彼の主張は多くのアメリカ人にとって目からウロコでした。アメリカの不幸の原因を理解させ、そこにも解決の方法があることを伝え、人々の考え方を変え希望を与えています。とくに20代30代の若い層では50%がポール支持者だといわれており、この流れと勢いは変わらないんじゃないでしょうか。今後は政治的に大きな力となるに違いありありません。また、高齢のポールにとってはこれが最後のチャンスですが、いつか息子のランド・ポールが大統領になるだろうと思わせます。ランド・ポールはケンタッキー州選出の上院議員(1期目)で、父親のようにきれいな目で父親に比べるとおとなしそうですが、メディアに出演する機会も多く知名度がどんどん上がっており、みなの密かな期待を集めています。
予備選が始まったとき、私は「事実上ロムニー対ポール」ではないかと思いましたが、現実は厳しいんですね。しかしロン・ポールが大統領にならなかったらアメリカは北朝鮮型専制国家への道をつき進むだけですか? 日本はアメリカの干渉を受けつづけて、日本人の稼ぎはこれまで以上にアメリカに吸い上げられ専制政治を押しつけられ、やがてはアメリカのご都合で戦争に巻き込まれるのでしょうか? いわゆる「NWO(ニューワールドオーダー)」はアメリカで着々と進行中に見えます。そして相変わらずNHKは予備選の結果を伝えても「ロン・ポール」の名前はけして口にしません。
ロン・ポールの主張を理解しようとすることで何が問題なのかが見えてきます。それは日本に関係ないことばかりではありません。勉強しましょう。次の予備選は1月31日のフロリダ州、2月4日のネバダ州です。
(追記)不本意ながら私はずいぶん弱気なことを書いてしまったようです。ロン・ポールのファンサイト Ron Paul.com にこんな投稿がありました。
● Unstoppable: The Ron Paul Revolution Continues Ron Paul.com 1月22日付
「ロン・ポールの「革命」は続いている、ロン・ポールは勝ち続けているよ」と言うのです。つまり、2008年の予備選と比べてどれほど支持者が増えたかをグラフで示しています。
サウスカロライナ州での得票率 3.62% → 13%
サウスカロライナ州の得票数 16,155 → 78,093
はじめの3州での得票率
アイオワ 9.9% → 21.45%
ニューハンプシャー 7.8% → 22.91%
サウスカロライナ 3.62 → 13%
はじめの3州での得票数
アイオワ 11,841 → 26,219
ニューハンプシャー 18,308 → 56,872
サウスカロライナ 16,155 → 78,093
ナルホド! サウスカロライナはもともとロン・ポールへの支持の薄い所で、そのわりに実はこんどの選挙ですごく支持者を増やしていたのですね。アメリカのあるメディアで「ロン・ポールはもはや候補者ではなく運動(movement)だ」という発言がありましたが、選挙とは別のことが同時に起こっているのを誰もが感じているのでしょう。なにしろ選挙のほうでは「紳士協定」で「みんなで一位持ち回り」だそうですから、今回はギングリッチの番だっただけかもしれませんね。
また、どういう人達か知りませんが「東京財団」なるサイトにかなり詳しい分析があったのでリンクを貼ります。
● アメリカNOW 第85号 2012年共和党大統領予備選挙始動:アイオワ州党員集会結果の分析
● アメリカNOW 第87号 ニューハンプシャー共和党予備選挙結果、およびアイオワ・ニューハンプシャーの意味
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