1月20日のアメリカ、21日の日本
1月20日、アメリカでは新大統領の就任式がありました。上はその日のダウ平均株価。チャートのまん中あたりが式や演説の時間にあたりますが、何事もなかったように…………あるいは何事もなかったために?…………クロージングベルが鳴ったときには332ドル下がって8000ドル割れ。特徴として金融株全般が下落。
私は暇にまかせて夜更かしして、BSやCNNの生中継を見ながらYahooでシティグループとバンクオブアメリカの株価+それぞれの横にくっついているBBSを見ていたのですが、同じ国とは思えませんでしたよ。(あたりまえ。)4年に1度のお祭ですから、中継がいいことばかり言って盛り上げるのはわかります。BBSでは(株屋の集まりで、常にすごい数の投稿があるのですが)「オバマで良くなる」という数と同じかそれ以上(といっても10に満たない数ですが)「ブッシュを連れ戻してくれ」というタイトルのカキコを見ました。「シティに25万ドルつぎ込んでスッカラカン、妻に逃げられ、今はバンで犬と暮らしている」というカキコへは励ましと並んで「犬を売ってシティを買って下げ止まりに貢献しろ」「シティで無利子のローンを組んでまたシティに投資しなよ」「自分は150万ドル損した」等々返信の数々。「ミシェルの服装はひどすぎる」「あれではオバマは宣誓したことにならない」…………あるいは「ユダヤ人がこの国を滅ぼした」というカキコにはたちまち23のレスが付き、あとでゆっくり読もうと思ったら削除されちゃっていて。まあ、いろいろ面白いのでした。(下はそのcitigroupが2ドル台に突入した1月20日と1月20日までの1年間のチャート。)(上の図は下の図の一番右端10分の1ミリにあたります。)
日本のメディアがとりあげるのは涙を流して喜んでいる黒人ばかり。(人種にかかわらず支持者は喜んでいるに決まっているじゃありませんか。)日本でも「感動した」という感想が多く寄せられると報じます。(画面には手書きの文章、「感動」の文字のアップ。でも何に感動したのか教えてくれません。)(たまたま今テレビがついていますが)NHKはベタほめです。小浜市だけでは足りず、夜9時のニュースはこう。オバマのスピーチを音楽がわりに一日中お店で流し、「聞けば聞くほどいい声ねえ」と聞き惚れる美容師さん。同じくオバマのCDと一緒にスピーチを暗唱する女子高生のグループ、「リズムとか使う単語によって伝える力が変わってくるのだと思います」と分析する中学生。なんだか自己洗脳。どうして女ばかり?と思いつつ、アンビリーバボーでございます。よく探してくると思います。(「小泉ブーム」のときとまったく同じですね。)
私は英語なんかろくにわかりませんから、どこかの中学生のようにスピーチの分析なんかできません。ですから彼女達が「感動」するのは、口蓋が縦に広すぎるのじゃないかと思うフガフガした声の「美しさ」やスピーチの「素晴らしさ」ではなく(素晴らしいスピーチであったとしても)、何よりオバマが「ブームである」ということだと考えます。(ほんとに「小泉ブーム」と同じことを書いている気がします…………)最初から「素晴らしいもの」として与えられたものを「素晴らしい」ことを前提に「素晴らしい」と受けいれる、という感じのとっても安全安心な道。けして個人の責任を問われることも恥をかくこともない道。
でも彼女たちをバカにする気はありません。こういうのはみんな自分の「新しい体験」に酔っているのだと思います。つまり、これまで政治に無関心だった人やまともな本をあまり読まなかった人や人の演説など聞いたことのない人が(=他と比較のしようもなく)いきなり「すごい」と感じてしまった、というような。「こんな世界があったなんて!」という「ヨン様」のドラマみたいなものじゃないでしょうか。私の世代でいえば、突然ロックに目覚めた少年。新しいことを知るのはいいことなんですから「あと一歩」踏み出してほしいと思います。そのスピーチが日本や自分にどう関係するのか、批判はないのか、反対する人は何を反対するのか、アメリカはどうなっているのか、等々。その一歩は意外に大きくて難しいものです。私なぞ、こんなに理解したいのに難しいことはわかりません。でも「さて」と見回してみるだけで景色はずいぶん変わります。(ここのところが「大衆」と呼ばれる私達の一番の弱みではないでしょうか。)ファンはファンでいいのだから、より良いファンになってください。そしていまだにオバマが何を言っているのかわからない私に教えてください。
ほどなくニュースは国内の緊急最重要問題、小室哲哉の初公判へと移りました。
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