お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2009年1月8日

オバマの演説



すでに書いたように、私はアメリカの大統領選では主な候補者の顧問全員が好戦的だと知って冷めてしまいました。それでもオバマの勝利演説では、また泣けるような話が聞けるかしらと思ってテレビをつけたのです。でもつまんなくて拍子抜けしました。「人民の人民による……」さえどうにも取ってつけたように空々しく響きました。でも私はオバマのことなど知りませんから、今日あらためて演説を聞くことにしました。

上の動画は数ある中から適当に選びました。まあ、彼はこういう演説で全米を虜にしたのでしょう。(もっと小さい埋め込みにしたかったのですが、字幕の都合で大きいままにしました。YouTubeのBarackObamaJapanチャンネルを見ると、これ以外にもオバマの演説に日本語字幕をつけた動画をたくさん見ることができます。)この間延びしてスカスカの(おまけに声がフガフガで)、中身もカラッポの演説に、どうしてこんなに盛り上がれるのか不思議です。それともカラッポだから? これは小泉政権が裏で言っていたという「B層」向けですか?(同じ5分間のスピーチを文字におこしたら、オバマはロン・ポールの何分の一でしょう?)

先月お金の話で洗脳されてしまった私には、この演説が尚更カラッポに聞こえます。お金の問題がアメリカの病根だと考えるようになったからです。でもそこに触れないにしても、アメリカ国民を分断させている「政治」って何? 「政治」といえば誰でもわかるんるんでしょうか? もしブッシュ政権にうんざりしているなら、あそこにいる殆どの人達が自分で旗を振ってブッシュを熱く支持した結果じゃありませんか。話は「一つのアメリカ」だけで、具体的な問題の指摘がなく、改善案もなく、独自の新しいアイデアもなく、ただの一つもなく、ただただ抽象論です。イメージです。そりゃいろんな人が仲良く暮らせる社会は誰もが望むでしょう。(じゃあどうやってそういう国にするのか言ってごらんなさいよ。)でもアメリカは「分断」されているのですか? 私の子供時代はまだ人種差別がひどいものでした。でも公民権運動やサブカルチャー革命をへて、今は雲泥の差ですよ。貧富の差だって、アメリカを象徴する豊かな中間層をつぶしたことで間ができてしまったのであって、政府を恨んでもお金持ちと貧乏人が憎み合う筋じゃない。(それとも、そうなんですか?)共和党と民主党の支持者がいても、反目しあって内戦が勃発したわけじゃない。(と思いますけど。)人種や文化の「サラダボール」であるアメリカではいろんな切り口で国民を「分類」することができます。でもそれは必ずしも「分裂」や「断絶」や「分断」を意味しない。それをことさらに「みんな一つだ、みんなアメリカの国民だ、一緒に血を流すんだ」といわれたら、911の後のあの「USA! USA!」という怒号の嵐を懐かしみ、あの頃のように一つになって(あぶれたものは逮捕して)次の戦争をガンバロウと言っているのかと訝ってしまいますよ。(事実景気対策としての泥沼戦争をやらないという保証はどこにもないのです。)

オバマ対マケインの選挙はつくづく空しかったと思います。(Presidential Debateをご覧になりますか?)共和党はペイリンを選んだ時点で本気だったと思えないのですが。当事者がどうでもいいような選挙で、誰が勝っても負けてもどうでもよかったんではないんですか? 副島隆彦がいうように「最初からオバマに決まっていたんだから」、陰謀論者が言うように「ロックフェラーが決めたんだから」「CFRだから」……そういう話だって本当にあるのかもしれません。

6月に選挙戦を下りたロン・ポールは、同じ共和党のマケイン陣営から「マケインを支持してほしい」とお願いがあったそうですが、考え方が違うと断ったのでした。彼は「マケインもオバマもおんなじだ」と言います。そしていわゆる「二大政党」ではない、小さい政党や個人の「third party」の支援に回りました。そして自分の支持者に本選挙では「third party」に投票してほしいと訴えたのでした。なんとまあ……。それで、こないだアップした地味な討論会に出演していたのですね。(third party は「第三者」という意味ですが、彼らのことを日本の慣例でなんと呼ぶのかわかりません。「泡沫候補」?)third party には「憲法党」「グリーン党」などがあり、ラルフ・ネーダーは一貫して個人でやってたと思います。

ラルフ・ネイダー支持者が作った「オバマ、マケイン、ネーダーのバーチャル・ディベイト」みたいな広告です。(英語がわからなくても音で同じ事を言っているのがわかるでショ?)あのネーダーが急にカッコよく見えて、うまいなあと思います。



こうやって改めて大統領選を見ると、上手く言えないので大袈裟に言いますが third party の存在によって「アメリカ=民主主義」の体裁を支えているのかもしれないと思います。どんなに弱小でも正しいと思うことを主張する、大政党の議論に上らない問題を提起する、二大政党制そのものの陥穽に対して意義を唱える人達がいることは救いです。そういう人達に耳を傾ければ、たとえ全面支持はしなくても、思ってもみなかった事柄に誰でも気づくはずなのです。大統領選挙において、彼らは自分が大統領になることよりも(無理だとわかっていても)、二大政党制や大統領選挙のあり方と戦うために活動しているかのように見えます。

さて、次期大統領に決まったオバマはアジテーションを終えて政策を語らねばなりません。とりあえず現在のイスラエルのドンパチについて何を言ったんでしょうね。(追記:1月9日/何も言ってないようです。New York Times, Jan 8, 2009 )そして就任後に、共和党のブッシュ政権が911のどさくさに決めた事柄——大統領に与えたとてつもない権限の数々や愛国法をはじめ国民の自由を制限する評判の悪い法律の数々をどれだけ撤廃するのか。見ものです。(やらないでしょう。)アメリカの選挙の投票権を持ち、オバマを支持した友人によれば、早くも選挙中に言っていた話と違いが出てきたそうです。(もちろん誰でも就任すれば現実とのかねあいで多少の修正をしなきゃいけないそうですが。)そして彼女はロン・ポールを知りませんでした。私は今頃になって少し興味をもっただけで、たいへん無責任に書いています。しろうとの無邪気な感想デシタ。

PS:こんなの見つけてしまいました。(いいのかなあ)
● Daily Show CNNでもやっている時事ネタお笑い番組。コメントも見てね。(2008年6月頃?) 
(追記:1月21日/今日見てみたら削除されていましたから、番組制作者のサイトから持ってきて文末に埋め込みました。YouTubeの削除はコメントも消えてしまうのが残念です。今覚えているのは「反ユダヤと言われずにユダヤ批判できるのはジョン・スチュアートのようなユダヤ人だけ」くらい。ついでにFinannce Reform/6月23日放送のもどうぞ。)
● Obama and Blackwater ブラックウオーター告発の第一人者スケイヒル(Jeremy Scahill)。隣にいるのはナオミ・クライン? 本題は4分30秒くらいから。頑張って聞くのだ。(2008年11月15日) Clinton vs Obama on Blackwater(2008年3月17日)もよろしよ。ブラックウオーターが何かを知っている人にはこちらのほうがわかりやすいかも。(追記:1月26日/こインタビューの中で頑張っているオハイオ州の議員さんとして名前が出てくる人を見つけました。私にはキャピトル?と聞こえてわからなかったのですが、「Mercy Captur」、こんな人です。)

● おまけ Naomi Klein on OBama  Real News、ナオミ・クラインの意見。(2008年8月26日)

(追記:1月10日)
ロン・ポール関連の一昨年4月投稿のビデオを見たら、4日前のコメントにわりと脈絡なしでこんなのがありました。
chill out people. What I don't understand is why our country is so divided even though we claim we are the united states. I guess it only goes for the physical states... not the people.. sad. No wonder other countries don't take us seriously. We're all so preoccupied with who is an "ignorant moron" or an "asshole".. it's just pathetic.
個人の嘆き? それとも、やっぱりアメリカって「分断」しているんでしょうか。確かに外国人にはわかりません。(オバマに行けばいいのに……?)

↓ リンク先が削除されたから著作権を有するサイトから追加。

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