バウハウス展
芸大の美術館に「バウハウス展」を見に行きました。芸大も美術館を持つようになったのかと、少し不思議な気がしたのはいつだったか。前に行ったのはまだ「正木記念館」の時代ですよ。いかにアートから離れていたか、ということです。美術館は美校の門を入って右の立派な建物です。展覧会はほどよい賑わいでした。
バウハウスを総合的に見るいい機会です。展示は「デッサウ以前/バウハウスとその時代」「デッサウのバウハウス/基礎教育と工房」「建築」という三つのテーマに分かれていたそうですが、私は勝手にアートとデザイン(工業製品)、建築、舞台の三つのつもりで見てました。中を歩きながら改めて気がついたのは、ドローイングやオブジェは古色蒼然としているのに、椅子、食器、照明器具など工業デザイン(工業製品)は今も現役の機能美を輝かせていることです。(事実多くの作品がアートな高級品として今も生産されています。ちょうど「シャネル・スーツ」が今も一流の衣服として現役なように。)
そういえば学生だった70年代に1920年代を勉強しましたっけ。戦争前のはるか昔だと思っていたのに、知れば知るほど20世紀を作ってしまった時代でした。新しいものはかくあるべしというスタイルや概念はその頃に全部できあがっていて、「今って20年代の続きなの!?」と驚いたことをがありましたが、その状態は今もほとんど変わっていないのかもしれません。)
しかしアートはこうも古びている‥‥‥‥これは何なんでしょうね。当時は全てが新しかったはずなのに、時代が追いつき追い越したもの、時間では超えられないものがあるのですね。生活の道具は実用との兼ね合いがあるからでしょうか。一つのエポックには人々の嗜好以上の意識や生活様式の大転換が必要条件で、今の生活の道具が変わるまでにはまだ時間がかかるのかもしれません。いっぽうアートはアートのためだけに進化でき、進化してきたということなんでしょう。
いちばん面白かったのは意外にもダンスでした。展示室の一部を囲ってプロジェクターで壁に投影したもので、写りはかなり悪いのですが、のぞいたときにやっていたのがダンスだったのは何ともラッキーでした。非常におかしな、オモチャのような、面白い衣装の踊り手の姿に思わずひきこまれました。ちょっと興奮しました。そのほんの一部をYouTubeでみつけましたよ。
「トリアディック・バレエ」というそうです。この映像は1969年〜1970年に再構成されたものだそうですが、まず視覚的に衣装が面白いのです。そして動きの面白さ。音質が悪くてよく聞こえない音楽もそうとう斬新です。こうした一連のダンスの後、「メカニック・ダンス」が上映されました。そこにはもう人の姿はなく、平面になってしまうのです。こういうダンスは次の時代にどう受け継がれたのでしょうか、断絶したのでしょうか。オスカー・シュレンマー (Oskar Schlemer) という名前を覚えておこうと思います。今の時代、ドイツあたりではDVDが出ているのではないかと、帰ってからネットで調べましたが見つかりませんでした。そうなると会期中に再び行って最初から見たいと思います。
そんなダンスを見てしまったために、わずかな手がかりほしさに展覧会図録を買いました。小振りで厚く重いものです。3000円。予定外のものは高く感じます。ついでにバウハウスの赤いファイルを一つ。(7月10日)
図録といえば、思い出しました。大竹伸朗展(「全景」)のカタログはどうなったんでしょう。
● バウハウス展
展覧会の公式サイトです。ここを読んでから見に行くといいかもしれません。東京は会期末ですが、来春まで国内3ヶ所を巡回するそうです。
● 東京藝術大学大学美術館
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