お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2007年5月8日

「ゆーといぴあ」とアトリエ倭(やまと)の香田さんの独楽


5月3日はYさんと原宿へ行きました。最初は展覧会でも行くつもりが、結局私の都合に彼女をつき合わせてしまった格好です。

「ゆーといぴあ」というオモチャ屋さんは明治通りに平行して渋谷側に向かう路地にあります。木製の玩具でいっぱいのお店です。先月通りすがりにたまたま入って「ばぶさん」のオモチャを発見し、改めてゆっくり出直したいと思っていました。でもこの日ははからずもお店のワークショップのために来ていた香田さんという玩具職人?玩具作家?に出会ったので、先にその話をします。上の写真の独楽を作った人です。

何年も木工の修行をした後、子供たちに日本独自の伝統技術に触れてほしいという思いからオモチャ作りを始めたそうです。ですから彼女のオモチャは‥‥‥‥これが子供用? 骨惜しみのない美しい仕上げは、まるで洗練された大人の書斎の装飾品のようです。とくに大工さんが柱を繋ぐ技術を使ったパズルなど。子供が飛びつきそうな派手な餌を貼り付けたでもなく。

たとえばこの独楽は溝を彫って色を塗ったのではないんです。「小町亀甲」という文様で幅が8cm。天然の木の色を生かし、寸分たがわぬ手仕事で寄せ木のように組み合わせてあります。なんとまあ贅沢な! 

でも彼女のお話をきくうち、ふと「月光荘」のおじいちゃんを思い出しました。いつも言っていました。「子供には本物の絵具を持たせなければいけない」と。子供が描くのは落書きみたいものだし、まだ何もわからないんだからと安物や粗悪な画材を与えてはいけない。何もわからない子供だからこそ、本物の絵具のきれいな色を使い、のびのよい描きごこちで絵を描けば絵が好きになると。そうやってよいものを知ることが大事なのだと。

小さい子供にとって、ふだん見たり触れたりする抽象的な形はとても豊かな世界をひめていると思います。しぜんと自分で意味を探したり、あるいは意味や関係を作り上げていくからです。まして伝統のうちに完成された意匠となれば見飽きることがないでしょう。オモチャ箱にお人形やカラフルなオモチャに混じって一つ二つこういう物が入っていたら、自然の色や手触わりの違いを知るだけで感覚の世界が広がりそうです。そうでしょう? それに、海や山でゴミを散らかすだけが自然との関わりではないはず。


左からオモチャ職人の市川さん、香田さん、ゆーといぴあの薗部さん。みんななんていい顔をしているんでしょう。こんな人達がはこんでくれるオモチャを持っていたらご利益ありますよ! 私は香田さんの独楽を二つ買い、薗部さんの勧めにあまえてご本人にサインを焼き込んでもらいました。一つは子供の日が近いからYさんのハンサムな甥御さんにプレゼント。(果たして喜んでくれたそうです。しめしめ‥‥‥‥)
One of the six spinning tops that the sophisticated Japanese traditional marquetry motives and technique are handed on. Handmade by a wooden toy maker, Ms. Kohda, Atelier Yamato.

《アトリエ倭》のホームページ
《ゆーといぴあ》のホームページ


(註)「月光荘」は国産初の油絵具を作ったお店。泣く子も黙る明治生まれのガンコな創業者「おじいちゃん」(橋本兵蔵さん)が銀座の画材店を仕切っていました。藤田嗣治をはじめ名だたる文人画人が出入りした由緒あるお店でした。

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